かつてアラビアには三つの国があったという。
一つは、「 砂のアラビア 」。
つまり今のサウジアラビアを中心とした広大な砂漠地帯にあった国。
二つ目は、「 岩のアラビア 」。
今のシリアやヨルダンにある巨大な岩山が密集している事がそれだ。
三つ目は、、、 「 幸福のアラビア 」。
その昔、ヨーロッパの人々がイエメンをそう評してたそうだ。
当時のイエメンはインドと地中海を結ぶ
「 海のシルクロード 」の要地として栄えていた。
それに加え、今でもそれはよく理解出来る話だが、
緑が多く、肥沃な土地から採れるの作物を目にすれば、
ここイエメンがそう呼ばれるのは納得のいく話だ。
昔はインドのスパイス、中国の絹、アフリカの宝石、、、
様々なモノがこの地を経由して行った時代もあった。
さらに、当時の王侯貴族を虜にしたといわれ、
この地に莫大な富をもたらした特産品の「 乳香 」の存在も大きかった。
当時のイエメンは、そういう意味でも潤っていた、、、
しかし、今は昔とは違い、時代そのもの移り変わりと共に、
交易路から外れ、乳香の魔力も忘れ去られた今、、、
「 アラブの最貧国 」と呼ばれるイエメン。
だけど、経済的や物質的だけに満たされるというのは
そこまで生きていくのにそこまで重要なことでなくて、
少し人間の本分から外れている気がする、、、
そう思わせるのは、ここイエメン人の生活や人々そのものを見て来て感じたこと。
出会った人々は皆親切で、
男たちには「 誇り 」があった、、、
アラビア半島にこんな所があるとは正直夢にも思っていなかった。
その大地、その文化、その人々、、、
どれをとっても特異で不思議なことばかりだった。
短い滞在の中で、一体何を何処まで知る事が出来たのか、、、
まるで物語を読んでいたような部分もある。
もう少しイエメンという国を知りたいという欲求がある。
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