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Palestine vol.2 「 境界線 - へブロン 」




エルサレムから南へ、、、 バスを乗り継ぐこと約1時間半。

訪れるまでは全く知らなかった「 へブロン 」という街は、

ユダヤ・キリスト・イスラムという3つの宗教の聖地。


神が使わした最初の預言者であるアブラハムを始め、イサクやヤコブのお墓。

それに、ダビデがイスラエルの王となる前にユダの王となり、7年半過ごした地。

そして、イスラエルとパレスチナの「 境界線 」が街の中心に存在するところなのだ。


パレスチナ人の中に混じってバスに乗るのは、変な感じがしたが、それはお互い様だったことだろう、、、

ここは既に「 パレスチナ自治区 」。 こんな所で東洋人を目にするのも珍しいだろうに、、、

思っていたよりも綺麗なバンに乗り、他の何処とも変わらないよく整備された道を行く、、、


見れば長閑な景色が車窓の外に広がっている。 まるっきり平和としか思えない景色。

ただ一つ異様なのは、イスラエルの監視塔が郊外の道路にも設置されていること。

こんな所に何があるのか? 監視カメラを何台も備え付けた監視塔の姿は不気味以外の何物でもない。


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バスを降りると、そこには他の何処の街とも変わらない光景があった。


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活気のあるスーク(=市場)を歩いていく、、、 人々の生活の様子を知る機会。


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スークを向けると、それまでとは一転して閑散とした街の姿、、、



Palestine vol.2 「 境界線 - へブロン 」_a0086274_17474544.jpg更に先へと進んでいく。

軒並み店が閉まっているので、かなり異様な雰囲気。

モスクへとまっすぐ通じる仲見世通りらしいのだが、、、

見上げると、頭上の屋根の間にネット、、、 そこに、大量のゴミ、、、

話によると、上に住む入植者たちが捨ててるのだそうだ。


Palestine vol.2 「 境界線 - へブロン 」_a0086274_1748030.jpg旧市街なのか、狭いエリアにたくさんの建物、、、 トンネルも多い。

そして、その先には、、、 セキュリティ・チェック・ポイント。

もちろんイスラエル側が設置したもの。

回転式の扉が二つ、、、 その先には、兵士が待ち構えている。


Palestine vol.2 「 境界線 - へブロン 」_a0086274_17481017.jpgそんな所を抜けるとやっとモスクへと辿り着く。

そして、着いて早々に驚く、、、 「 何だコレ? 」

なんと神聖なるモスクの前に、もう一つのセキュリティ・チェック・ポイントが!

老若男女を問わずして、皆このセキュリティ・チェックを受けなくてはならないのだ。

もちろん子供も、外国人も、、、 なんてことだ。


Palestine vol.2 「 境界線 - へブロン 」_a0086274_17481953.jpg実はこのモスクには信じられないような本当の話がある。、

なんと94年にイスラエルの住民によるムスリムの虐殺があったのだそうだ。

29人の死者を出したこの事件、なんとイスラムのお祈り中に起こったという、、、

そこを何故かイスラエル側がセキュリティ・チェックをしている、、、


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帰り道、行きとは別の道を行くことにした。 小さなトンネルにあった壊れた回転扉を通ると、、、



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そこにあったのはゴーストタウン、、、 人の気配どころか、生命の存在を感じない。

かつてそこに街があったことは、明らかなのだが、、、 一体?

よく見ると、そこにはイスラエルの国旗であるダビデの紋章がひらめいている、、、


実はこのへブロンという街は、H1とH2という二つの街に分けられている、、、 今では。


97年より作られたこの街。 間違いがなければ、その土地占有率はH1の20%とH2の80%?

H1には12000人のパレスチナ人が住み、H2には600~800人のユダヤ人が住むのみ、、、

以前H2にいた30000人のパレスチナ人は、嫌がらせ等を受けた為に、H1に移動した。


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街中ではイスラエル兵以外はほとんど目にしなかった。

白昼とはいえ、ゴーストタウンなるところを一人で歩くのはかなり気味が悪い。

時折、魔女のような真っ黒な服を着たユダヤ人少女の姿が、更に不気味にさせる。


イスラエル側にも主張があるらしく、看板に「 ここはアラブ人に盗まれた土地 」と。

ユダヤ人の入植地と呼ぶのは相応しくなく、どちらかというと「 占領地 」。

あのユダヤの紋章を見れば見るほど、そんな印象を受ける、、、


H1とH2の境界線には、やはりセキュリティ・チェック・ポイントが設置されてある。

フル装備をしている兵士が、まだ背負っているリュックが大きく見えるほどの子供までチェックしている。

もちろん、そのリュックの中まで、、、 なんてことだ。


セキュリティ・チェック・ポイントを抜けて、パレスチナ自治区側へ戻ると、そこは先ほどバスを降りた所。

振り返って見てみても、あんな所がH1とH2の境界線だとは、、、 近過ぎる。

一つの街の二つの顔、、、 こんな所が今の世の中に存在するなんて、、、





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by hitoshi280477 | 2007-05-10 16:17 | Palestine
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