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Antarctica vol.8 「 Day 6 南極といえば、、、 」



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Port Lockroy

 朝食後、何となく舳先に出てみる。 軽く雪が降っている。 前方を見ると、小さな氷の塊が冷たそうな仮面に浮かんでいる様子が見える。 どうやらそのままそこを真っすぐ進むようだ。

 小さな氷の上には、少し雪が積もったりしていて、色は違うけどまるで木片の上に生息する苔のように見える。 そんなのが大小様々浮かんでいる。 

 船はそんな中を進んでいった。 時に、「 これは危ないのでは? 」と僕ら乗客が危ぶむ様な大きさの氷の塊もあったが、この船は僕らが心配する様な大きさの氷のプレートなら割って進めるように出来ているらしい。 その時の迫力といったら、、、 ズズズッ と、大きくて鈍い音を立てる。 そして、良く見るとその割れた氷のプレートに、船体の色がこびり付いている時もある。 それほど、氷との衝突は衝撃があるのだ。

 しばらくして、「 これはさすがに無理だろう? 」と思った大きな氷のプレートにぶつかった。 そんなに大きな衝撃が船体にかかるわけではなかったが、端から見ると、その大きな氷のプレートにスタックしたような形に見えた。



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 すると、いつもゾディアックに乗る時に使用していた梯子階段が降りていく、、、 皆でその様子を眺めていると、探索の責任者が一番に降りていった。 手には長い鉄棒のようなものを持っている。 それで、氷の深さや強さを計っているようだ。 そして、少しずつ船から離れていった、、、

 船内アナウンスが入る。



 「 え~、只今状況を確認中ですが、今の所この氷の上を歩いて300mほど離れた所にある英国基地跡に向う予定です。 外では軽いブリザードが吹いていますので、くれぐれも暖かい恰好をして準備しておいてください、、、 」



 ???



 「 この氷の上を歩く? 」



 結構、無茶をさせてくれる南極ツアーではある。 ただ、氷の上を歩くというのは実に面白そうだ。 そんな経験はスケートリンクの上くらいでしかなかったし。 ただ、最後に聞こえた「 氷の上に降りたら、なるだけすぐに船から離れてください。 ひび割れが入るとしたら、船の脇からなので、、、 」。 なるほど。 そういう危険も伴うのか、、、 クレパスとかもあるのかな?



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 僕の番になる。 何てことはない。 いつものように階段を降りていって、そのまま氷の上を歩けば良いだけなのだ。 その時に、前の人たちが歩いた後の轍のようなものを辿って行けば良いのだ。 そんなに難しいことはない。 ただ、、、

 船外では、軽いブリザードが吹いていたっ! 寒いし、痛いし、先が見えないし、、、

 これが南極の気候なのだ。 講義で聞いた話によると、南極大陸というのは一番寒くて、一番風が強いのだそうだ。 なるほど、それを今体感出来るわけだ。 ある意味、ありがたい話ではある。



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 少し歩くと、前にある筈の英国基地跡も、後ろにある筈の船も、何だか少し霞んで見えた。 それほど、雪というか、小さな氷の破片が降り続いていた。 それもその筈、気温は氷点下なのだ。 後で聞くと、この時降っていた氷の破片のような物の強さは、もっと気温が低くて風が強かったら、鉄の破片が吹き付けるくらいになるそうだ。 この時でも充分痛かったが、、、


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 困ったのは吹き付ける雪と氷のせいで、カメラがズブ濡れになってしまったことだ。 軽いブリザードの中、カメラを撮る事は結構大変だ。 濡れる事を躊躇っていたら、写真は撮れないので、半ば諦めの気持ちで撮り続けるしかなかった。 それでも、レンズは曇るし、、、 機械式のカメラでないので、その後のことはちょっと心配になってはいたが。


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 船外にいる事、およそ一時間強。 ものすごく寒かったが、この時が南極らしい南極を体験したと後で述懐する事になったのだ。 いやはや、この世界にはこういう所も存在するのだ。 何とも不思議な気持ちにさせられた。




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Vernadsky Station

 ウクライナの観測基地に寄る事になった。 何でもここではオゾン層の研究や、南極大陸の保有する氷の量、すなわち水の量なんかを観測して、世界的規模で進んでいる温暖化のことなどを研究しているそうだ。 


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 驚いたのは、施設の中には発電所や研究室、食堂、個人部屋などの他にバーやジム、それにお土産物屋さんまであった!! ここは南極半島のかなり先の方にあるので、比較的多くの船が来るからなのだろう、、、


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 そして、ここでは南極発の葉書を送る事が出来る。 料金は$1くらい。 いつ届くのかは分からないが、南極発の手紙が届いた人には嬉しい事だろう。 試しに一通、母に出してみた。 果たして、ウクライナを経由して届くのだろうか? 







 「 南極らしい南極。 」







 それを思い出すと、「 遂にここまで来たか、、、 」などと思ってしまうのだ。

 そして、軽かったとはいえ、あのブリザードを体験した事によって、「 いや~、南極ってのはさ~、、、 」と語ることが出来るのだっ!!
by hitoshi280477 | 2005-12-12 11:30
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