Ghana vol.7 「 ビザ取得の攻防 」

 「 原則として、ガーナの居住者にしかビザは発給しない事になっているのだっ 」



 担当官はそう僕らに言った。 しかし、「 ナイジェリア・ビザ 」をここアクラで取得する際には、その原則とやらをなんとか曲げてもらって、ビザが取得出来ると旅人話には聞いていた。 だから、こうしてわざわざタクシーに乗ってまでしてやって来ているのだっ。



 「 何とかして欲しい 」と言うと、

 「 なんで日本で取得して来なかった? 」と聞かれ、

 「 日本を出たのは5ヶ月程前だ 」と答えると、

 「 一体お金はどうしているんだ? 」と聞かれ、

 「 ずっと前に仕事を二つしながら貯めたんだ 」と答えると、

 「 そんなにお金をたくさん持っているのか? 」と聞かれた。



 その若い担当官の顔色が、何だか嫌な感じになっていたのを僕は察していた。

 きっと僕よりも若いのだろうが、向こうにとっては僕の方が若く見えるらしく、そんな若い奴がこうして仕事もせずにもう何年も世界を回っている事に対して、少なからず嫉妬を感じたのだろう。

 もちろんその事実を隠す事は出来ない、何故なら旅の経歴は全てパスポートに載っているのだから、、、

 そして、嫌がらせが始まった。



 「 ナイジェリアのビザは本来ガーナの居住者のみに発効している そんな訳で、君たちにビザを発効する事は、原則として出来ない それに、向こうではお金がかかる 充分なお金を所持しているのか? 」

 「 充分あると思います 」

 「 もし病気とかになったらどうする? お金がかかるぞ 」

 「 それにも、充分なお金を持っていると思いますが、、、 僕ら日本人だし 」

 「 保険は入っているのか? 」

 「 もちろんです 」

 「 書類を見せろ 」



 旅行保険の証書を普段から持ち歩く程、暇な旅行者はいないと思う。 もちろん僕の証書はホテルに置いてあるバックパックの中だ。 しかし、一緒にいた人日本人旅行者が 適当な書類 を見せると、担当官はそれを ふんふん と言いながら見ていて、最後には「 良し、これのコピーを持って来いっ 」などと言った。

 とんでもない馬鹿だ。

 その書類は、銀行の支店の電話番号が欠いてあるだけの物で、しかも表紙には、「 World Cash - xxxx Bank 」としっかり書いてあるのに、その担当官はそれを保険会社の連絡先と勘違いしたのだっ!

 呆れる、、、



 結局、保険の証書が必要になったので、一度ホテルに戻ることになった。

 ナイジェリアのビザ取得の手続きは面倒で、申請日はまだしも、受取日が水曜日と金曜日と決まっているのだ。 そして、昨日が月曜日だったのだが、ガーナの独立記念日で休み、そして今日が火曜日なので、今日中に申請すれば明日もらえる筈なのだ。 そう、筈なのだ。



 担当官に「 明日取れるのか? 」と聞くと、「 恐らく、、、 」と言いやがった。

 まったくとんでもない奴だ。

 頭に来る。

 しかも、申請書類も二部ずつ必要なのに、自分たちでコピーしてきて、それをちゃんとホチキスでとめて来いとまで言いやがるっ! なんでそんなことを、こちらがしなくてはならないのか? ちゃんと仕事をしろってんだっつ!!

 そして、終いには「 14時までに申請だからなっ もし5分でも遅れたら、申請は受け付けないからっ 」とか言ってくる。

 本当にムカつく奴だ。





 とにもかくにも、ビザが取れるのなら取れるうちにとりたいのだ。 というのも、今までの経験上、取ろうと思っていて、、、 そのまま申請するのが遅くなり、ビザの受け取りが翌週に流れたこととかもあったからだ。 それに、このビザの受け取りは水曜日と金曜日と決まっているのだから、とっとと行動しなくてはいけない。

 ホテルまでタクシーで戻って、必要な書類と必要になりそうな書類のコピーを揃える。 念の為に、全て二部ずつ作成した。 「 日本人の仕事を見せてやるっ!! 」とばかりにはりきった。 やるからにはこちらも本気なのだ。



 そして、再び大使館へと赴き、入館早々あいつがいたので、「 戻って来たぞっ 」とばかりにアピールしておいた。 空調の効いた部屋で申請用紙を書き込むが、これがまた面倒臭い、、、

 というのも、質問が細かくて、中には「 最近?ヶ月以内に訪れた国と滞在日を5個書け 」とかまであるっ! 急いでパスポートのページをめくって探すが、アフリカに来て以来ものすごい勢いでページが減っていくので、その都度適当なスペースを見つけては押してもらっていたので、パスポートの何処にその国の入国のスタンプがあって、何処に出国のスタンプがあるかなんて分かりゃしない。

 空調が効いていようが、時間もおしている事から、冷や汗をかく思いで何とか仕上げた。 自分で確認してみても、少し不可解な点があるが、何はともあれまずは申請しなくてはいけないのだ。



 ここでまた問題が発生。

 ついさっき顔を合わせたばかりのあのムカつく担当官が何処にも見当たらないのだ。 周りの人間に聞いても、探してはくれるが見つからない。 こちらはやっとの思いで仕上げた申請書類を手に、辺りを落ち着きなく右往左往だ。 さっき会ったばかりなのだから、こちらがすぐに申請に来る事はしている筈なのに、まるで頃合いを見計らったかたのように消えてしまった。

 「 きっとわざとだ。 」 本当に嫌な奴だ。



 10分程して、やっと何処からか戻って来た。 とりあえず申請書類を見てもらわなくてはならない。 文句をガツンと言ってやりたいが、こちらが弱い立場にあるのだからしょうがない。

 申請書類を担当官が一通り確認すると、「 明日の14時に来い 」とだけ言った。 そう、無事に受理されたのだ。

 時計を見ると、後5分で締め切りの14時だった。 ギリギリだ。





 果たして、翌日の14時(もちろんそれより前)に大使館に行くと、すぐに ポンッ とパスポートを渡されたのだった。 訝しいので何度も確認したが、ちゃんとしたビザがちゃんと取れている、、、



 「 もしかしたら、、、 」などと思っていた事が現実となってしまった。



 これで書類上は、ナイジェリアへ入国出来るのだ。 何はともあれ、無事にビザを取得出来たことを喜んではいたが、思い出すのはあのムカつく担当官だ。 何が「 原則としてガーナの居住者のみに発効する 」だ。 それがそうなら、そうしろってんだっ! 散々嫌がらせをされたのだから、言いたい事はたくさんあった。

 しかし、これが「 噂のナイジェリア 」だとすると、これから先も思いやられる、、、





 そのまた翌日、トーゴ大使館へと向った。

 今度はガーナとナイジェリアにあるトーゴとベニンの両方のビザが必要なのだ。

 アフリカは何処まで行っても、ビザ・ビザ・ビザだ。 ビザ代も馬鹿にならない。

 時間もかかるし、労力も費やすし、、、



 このトーゴ大使館で取るビザは少し変わっていて、恐らく西アフリカを旅する人は知っていると思うが、「 五カ国共通ビザ 」というのがある。

 ちなみに仏語では、、、 「 VISA TOURISTIQUE ENTENTE 」。 実に質素。 

 このビザ一つでこの辺りにある五カ国、すなわちトーゴ、ベニン、ニジェール、ブルキナ・ファソ、そしてコート・ジボアールに入国出来るのだ。 どの国も世界的にはあまり知られていない、マイナーリーグにも属さない国たちだ。 恐らく、だからこそ寄せ集まってがんばっているのだろう。 そんなビザだ。



 トーゴ大使館はナイジェリア大使館とは比べ物にならない程、親切で、仕事もきっちりしていた。 なにせ、午前に申請すれば、午後には受け取り可能なのだから。 本来ならばそうして欲しいものなのだが、実際そうだと驚きと感謝の念が湧いてしまう。

 ちなみに費用は$50、もしくは25000CFA。 アメリカ・ドル払いがどう考えても安い。 というのは、下調べをきっちりやっている旅友の助言だった。

 それに、ビザは好きな期日から二ヶ月間有効の各国一回のみ入国可能。 もし二回入国したいのなら、新たにトランジット・ビザでも取得すれば良いのだ。 もちろん、一カ国ずつビザを取るより断然安くつく。 なんと便利なビザだ。



 ただ、問題なのは、これが何処でも取れる訳ではなく、また、話によると在庫が切れ次第このビザは無くなる?ということだ。 まあ、いい加減な面もある。





 かくして、ビザの準備は整った。 これで、ガーナよりも東へ進めることになる。

 しっかし、ビザの取得だけは面倒で仕方がない。 わざわざ大使館に行ったり、申請用紙を書いたり、書類を揃えたり、待ったり、、、 しかも、お金もかかるし。 それに、時間と労力も。

 結局、これらのビザを取る為だけに、まる3日かかった。 まあ、結果として全部のビザを取得出来たのだから、良しとしよう。






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by hitoshi280477 | 2006-03-01 08:58 | Ghana
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