4万年程前にこの大陸に移り住んできた人々は、今日では「 Aborigine アボリジニー(=先住民) 」と呼ばれている。 遥か昔、まだ今よりも海面が低かった時代、つまり氷河期の頃の話だが、その頃に主に東南アジアから移り住んできた人々のことをそう呼んでいるのだ。
彼らはこの大陸に入ると、比較的速いペースで各地へと移動していった。 この大陸の環境下では主に狩猟と採集が食物を得る手段ではあったが、古い木々を燃やして若い木々を育て易くすることなども行っていたようだ。 彼らの文化の中には、口頭で話や教えを伝えることが主だった為に、あまり詳しいことはわからないそうだ。 その言葉自体は250種類の言語に、700程の方言があったと言われている。 狩猟民族ではあるが、牧畜民のように移動を繰り返していたわけではなかった。 生活に適する場所を見つけた人々は、部族単位で村のような社会を作り、食料の確保や儀式などに励んだそうだ。 1788年にヨーロッパの人々が住み始めたということになっているが、実はずっと前にも外国の人々との接触はあったと言われている。 大航海時代のオランダやイギリスは大陸北西部に立ち寄ったらしいし、また人々は東南アジアの人々との交流も漁師などとの取引を含めてあったとのことだ。 ヨーロッパ人、主にイギリス人のオーストラリアへの移住が本格的始まると同時に、アボリジニーの人々の生活は大きく変わった。 中には先住民との相互利益を見い出すことの出来た地域もあったが、そのほとんが占領に近いものだったと言われている。 先住民である彼らが、英国領を不法占拠しているという事態にまで発展したこともあったらしい。 アボリジニーの人々にとって先祖伝来の土地を失うことは、彼らの文化を縮小させる主な原因だった。 また、外来種の病気などによる死亡や出生率の低下なども招いたのだった、、、 ヨーロッパ人入植以来、様々な迫害や弊害が20世紀の終わり頃まで続いていた。 しかし、その20世紀の終わりになって、アボリジニーの人々から土地の所有権を巡っての論争が広まり、それは今でも続いている。 もともと先に住んでいた人々が、後から来た人々が作り上げた政府に「 土地を返せっ! 」と言っているのは何とも言えない話だ。 アボリジニーの人々の間にそういった風潮が出始めた為に、政府もまたそれに対して対策を講じているとか、、、 今現在に至っては、アボリジニーの人々と、後から入植してきた白人たちとの関係が良好かどうかは判断するのは難しい。 というのも、明らかに白人の数がアボリジニーの数を圧倒しているし、現存している政府は白人が作り上げたものだ。 もちろんお互いにうまくやっている所もあるようだが、それを外国人旅行者が目にすることはほとんどない。 アボリジニーの文化を保存しようとしている試みは見られるが、それも定かではない、、、 のかもしれない。 非常に難しい話になっている。 実際、アボリジニーの文化を見て、体験することはちょっと難しい。 その為、お互いの理解不足から歩み寄り難い状況なのかも? 昼夜を問わず、街で何もすることなく、ブラブラとしているアボリジニーの人々を見ると何とも言えないのである。 特に若い年齢層や子供たちまでただブラブラとしているのを見ると、、、 アボリジニーの文化を少しでも垣間見ようと思っていたので、ケアンズにある「 Aborijinal Cultural Park - Tjapukai ジャプカイ族 」に行くことにした。 そこはケアンズの街から少し離れた所にわざわざ作ったアボリジニーの文化に触れることの出来る観光村のような所。 日中に行けば、そこで来訪者たちはジャプカイ族の文化に触れることが出来る。 彼らの持つ世界観や、彼らの信仰する「 ウェット 」と「 ドライ 」の世界の話、それにブーメランの投げ方や、日の起こし方まで体験出来るとか。 特に「 ウェット 」と「 ドライ 」の話は一風変わっていて非常に興味深い。 彼らによると、ジャプカイ族の人々は自然界に必ず自分の崇拝するものを持ち、それらは「 ウェット 」の世界と「 ドライ 」の世界の2つの世界に分けることが出来る。 そして、自分も父親から受け継いだそのどちらかの世界に属し、結婚する時には必ず自分の属する世界と違う世界に属する人としなければいけなかったそうだ。 これは各部族が500人程の規模で成り立っていた彼らの血が濃くなることを避ける為に考えだされたと言われている。 そんな話は他の世界では聞いたことがない。 非常に興味深い話ではある。 が、しかし、果たして今でも実践されているのだろうかは疑問に残るが、、、 ・「 ドライ 」に属するもの 太陽、火、カンガルー、トカゲ、岩など ・「 ウェット 」に属するもの 雨、虹、海蛇、ワニ、月など 実際に行ったのは、夜に行われる「 ダンスショー 」だ。 世界を旅する者にとっては、9000円という費用は少々高くついたが、まあそれもしょうがない。 「 見たいものは、見たいのだっ! その為にわざわざここまで来ているのだから、、、 」という理由付けを自分自身にするはいつものことだ。 火起こしに始まり、動物を真似た踊り、ユーモアのある踊り、それに迫力ある踊りで「 ダンスショー 」は進んでいく。 使用する楽器といえば、「 Didgeridoo ディジュリドゥ 」と木製のスティック、それに何故かブーメラン、、、 叩いて音を出すのだっ!! 踊り自体は迫力があって、リズム感に富んでいて、また変わっていて面白かった。 真似してみろと言われても、きっと出来そうにないのが残念だが、、、 実際、このような踊りを、こういった「 ダンスショー 」以外にいつやっているのは疑問に残る所だが、まあそれは良しとしよう。 世界中にいる「 先住民 」と呼ばれる人々が、後からやってきた人々によって、その生活をより困難なものにされたり、迫害を受けたりしているのは良くある話だ。 それがここではどうなのか? 正直、僕の目から見ては「 よくわからない 」というのが本音だ。 彼らの中の一体どれほどの人々が、後からやって来た人々と何をどうしていきたいのか、、、 残念ながら、僕には知ることも、察することも出来なかった。 まあ、「 適当にうまくやって欲しい 」と、そう願うばかりだ、、、 Copyright (C) HITOSHI KITAMURA All Rights Reserved.
by hitoshi280477
| 2005-09-20 05:13
| Australia
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