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Peru vol.6 「 空中都市 マチュピチュ 」

 午前5時。



 「 ふーっ 」



 その急な勾配を登っていくのにはさすがに息が切れた。 しかし、以前穴の開いた肺の調子は良さそうだ。 どうやら、標高が3360mあるクスコの街でゆっくりしていたお陰で体がばっちり高度順応しているようだ。 それにしても、、、 見上げれば急勾配に依然として濃い霧が立ち込めている。



 ( 何とか霧が晴れてしまう前に登りきらなくては、、、 そうでないと意味がなくなってしまう、、、 )


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 道は険しく、登りはキツく、空気は冷たかった。

 けれどその先に用のある僕はそんなことを気にかけずに、、、

 もしかしたら心の何処かで気にかけていたとしても、それ以上にこの先での事に集中していた。



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 インカの反乱指導者たちがスペイン人から逃れる為に、隠れ潜んだとされている秘密基地 ビルカバンバ というところを探す過程で見つかった 空中都市。 そこに僕は用があった。

 アンデスの山奥深く、ウルバンバ川が流れるその麓からは急な勾配を400mほど登ったところにあるという事だ。 麓からは一見すると何の変哲もない山脈の風景が見えるだけ。 実際、そこを登っている時でさえ、その存在の真偽はわからなかった。 人間自分の目で確かめるまで信じられないものだ。







 ( 霧が少し晴れてきたかな? )


 午前7時。 僕の座っていた「 ワイナピチュ 」と呼ばれる山の頂上からはまだ見えない。 眼下に広がる底の見えない谷からは依然としてもうもうと霧が立ち上っていた。 太陽はこんなに高く上っているというのに、日の日差しはこんなに強いというのに、、、 

 「 空中都市 」そう呼ばれているわりには山の頂上に位置していない事はここから見下ろしている事からでもわかるし、そこを囲む山々を見ていればわかった。



 そこは実際に人々が住んでいた街だ。 その当時の人口が遺跡の規模から推定一万人というから街と呼ぶよりは、やはり都市と呼ぶのが最適なのだろう。 しかし、一方で、推定人口は最大でも750人。 街と呼ぶよりは避暑地のような場所だったともいわれている。 まだまだ解明されていない謎が多いということだ。

 しかし、標高は約2200m。 周囲は断崖。 下は密林となっている、、、 ちょうど山頂に孤立するような感じで存在しているということだ。 たくさんの家屋や、灌漑施設、神殿、宮殿、墓などがあり、中でも段段畑は今でもしっかりとその基礎が残っている。 その様子は今さっきそこの脇を通って来たからわかる。




 未だ霧がもうもう立ち上っていた。 しかしよく見ると、先ほどよりも霧の量が少なくなってきたかのように思えた。 日は依然として強く差していて、、、

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 霧の雲をじっと食い入るように見つめていた。

 霧塊は僕を嘲笑うかのように、絶えることなく形を変え続けていた。

 その様子を、ただじっと見つめているしかなかった、、、



 そして、その霧の雲の中に少し切れ目が見えてきたかと思うと、、、



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 それは、今まで僕が見た自然と人類が残していった遺産の中で一番調和が取れているように見えた。

 自然の中に人工の物が調和して見れること事体そんなにあるわけではないのに、ここでは自然と人工のその建造物が見事に調和している、、、

 きっとここに住んだ先人たちは自然を尊敬し、大事にしていたのだからだろう。



 インカでは「 太陽神 」というのが存在していて、ここマチュピチュにも太陽の神殿があり、夏至と冬至が正確に分かる窓があるなど、太陽を使った暦を観測、作成したとも言われている。

 先刻の霧中の世界を目にした者ならば、きっと誰でもその存在に納得することだろう。

 太陽の陽の下に曝されたその様子は、、、


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 マチュピチュ

 その姿、、、 想像以上に美しかった。

 まるで物語の中のような世界だ、、、






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by hitoshi280477 | 2004-11-26 19:28 | Peru
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