Mali vol.4 「 首都の喧騒 バマコ 」

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 マリの首都であるバマコは人口100万人弱の大きな都市だ。 西アフリカを流れる大河・ニジェール川に沿うようにあるこの街は、他の何処の大都市とも変わらず、人と車と物で溢れかえっていた。

 縦横無尽に張り巡らされた道が、人と、物売りと、乗り合いのバスやなんかで収集がつかないかのように思えたのは、訪問者である自分だけなのだろうか?

 ラッシュアワーにはむせるせような排気ガスが街に充満し、日中を通して埃っぽくて、また照り付ける太陽の下、バマコの街は機能しているのだ。




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 この街が他の街と少し違って見えたのは、きっとバイクの量からだろう。 他の街ではそこまで気にはならなかった原付バイクや小型のサイズのバイクがバマコの街には溢れんばかりに走っている。 アジアの何処かの街で見る様なその光景だが、ここでも小型のバイクは庶民の足として活躍しているようである。

 乗り合いのバスの数も相当の物だ。 荷台を改造した中型のバンに人がたくさん乗っていて、それが街の至る所を繋ぎ合わせているようなのだ。 緑色に塗って統一されたこの乗り合いバスではあるが、だからと言って明確な基準などは何処にもないようで、運賃だって相場があるだけだ。

 分かっているのは、そういった乗り合いバスの類いはいつも決まったルートを走っているということだが、それが訪問者である僕には何処から乗れば何処まで行けるのか見つけるのは難しい。

 なので、いつもバスに乗る時は目的地の名前を連呼して、辺りにいる人々の助けを借りながら、バスに飛び乗らなくてはならないのだ、、、 まぁ、いつものこと。



 面白いのは、この乗り合いバスの数の多さから。 それ自体で渋滞を巻き起こしてしまう事だ。 そもそもバマコの街にはたくさんの道があるのだが、時には一方通行や細い道もあるので、皆が同じような道を走っている為に、いつも渋滞が起きる。 まあ、言い方を変えれば、乗り合いバスの数が多過ぎるのである。 そして、結果として競争も激しいようだ。




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 西アフリカを代表する観光立国であるマリ。 その理由の一つとして上げられるのが民芸品のデザインと種類の豊富さだろう。 バマコには、それら民芸品を集めた場所がある。 そこに行けば、マリでのお土産は全て買えるという所だ。

 一つの大きな建物の中に、たくさんの民芸品が売られていて、また実際にそこで造られている。 建物の中へと進んで行くと、狭い中庭のような場所に所狭しと民芸品が並べられている。

 そこでは、ヤギの皮を使って造られてた「 ジャンベ 」と呼ばれる太鼓が造られていたり、革製のサンダルや財布、木製の椅子や、きっと売り切れることはないであろう程の量のネックレスなどが売られている。



 そのどれもがマリ独特のデザインで造られていて、そのどれもがなかなかのセンスを感じさせるものが多かった。 特に、銀で造られたネックレスだのイヤリングだのはかなり凝った物があって、失礼ながら、これがここアフリカで手作りで出来ているとは信じ難い程の出来だった。 もちろん目の前で職人が造っているので本当の話なのだが、、、

 まあ、マリの思い出に何かを買い求める人だけでなく、とりあえず見に行くだけでも良い場所だとは思う。 いつもの如く、僕は何も買わなかったが。





 その民芸品売り場から程近い所に、大きな市場がある。 久しぶりにかなり大きめの市場である。 建物の一部から、トタン屋根で造られた屋台、パラソルを立てただけの店なんかがズラリと並び、そこに本当に溢れんばかりの物が売られている。 いや、実際溢れている。 端から見ていると、何処から何処までが誰のお店なのかも分からないし、よく商品が地べたに転がっていたりするし、箱物なんかは見栄えの為なのか高く積んであることが多い。

 食用や日用品はもちろん、衣類、煙草、ポリバケツ、金物、電化製品、玩具、、、 まあ、何でも揃うようだ。 何でも揃う分、それを買い求める人出の数も多い。 もともと狭くて密集している場所なのに、そこを商品を頭に載せた物売りや荷物の運び屋、そして買い物客と三つ巴で歩く場所を確保しなくてはいけないのだ。

 特にこれといって珍しい物は売られてはいなかったが、気になっていたのは大きなズダ袋に入った干した魚だ。 僕の体がスッポリと入ってしまいそうなくらい大きなズダ袋に入れられた干し魚たちは、まず間違いなく近くのニジェール川で獲れた魚なんだろうが、それらは一体いつのものなのだろう? なにせそれだけの量なのだから、そんなに回転率は良くないことだろうと思う。 それが軒並み売られているから、一体いつ獲れた魚なのかなんて分かる筈がない。 まあ、こちらではこれが当たり前なのだろうから、僕が何を心配しても、何を言ってもしょうがないのだけど、、、



 市場で働く人というのは、いつもその場所で仕事をしているもんだから、そこに ひょいっ とやって来る外国人に気が付かないわけがない。 しかも、東洋人である僕がそこで目立たないわけがないのだ、、、

 そうすると、すぐに声がかかる。 もちろん、「 シヌワッ(中国人) 」だ。

 彼らにはどうしても日本人と中国人の違いは分かる筈がない。 というか、違いどころか、彼らの頭の中には東洋人=中国人なのだから、しょうがない。 他にデータはあの頭の中には入っていないのだっ。



 何たることか、商売をしている方が暇で、道行く外国人に声をかけてくる。 僕はハッキリ言って彼らの暇つぶしにはなりたくないので、いつも適当に振る舞う。 そういう輩たちと時間を伴にしても、あまり何にもならないのは分かっているからだ。

 というか、いつもそうだった。 何と評すればよいのかいつも悩むが、まあ「 どうしょうもない 」というのが輩たちにはうってつけの言葉のように思える。 もっと真面目に仕事をした方が良いと思う。

 それを「 地元民との触れ合い 」と呼べる場合もあるだが、、、



 市場は本当に久しぶりに 混沌 という言葉が当てはまる場所のようだった。 規模的に大きいことから、見るには興味深い所ではあるが、、、

 そこで働く人にとっては、そこで働けるだけマシなのかもしれないが、他の世界を知る者が「 あの世界 」を見た後で思うことは、、、

 あそこはまるで「 一生抜けることの出来ない迷路 」のようだった。

 いくら仕事があって、その仕事が好調であっても、結局はずっとあの場所で仕事をし続けるしか選択肢のない人生なのだろうと思う。 それが、生きる為なのだからしょうがないし、それにまだ仕事が出来るだけ、仕事があるだけマシだというのは分かっているのだが、、、

 まあ、彼らには彼らの人生がある。





 そんなことを、すぐ近くにある五つ星ホテルの空調の効いたラウンジで考えていた。 さっきまでの喧騒は一体何処に行ったのやら? ここには ビシッ とスーツや正装に決めた人々が商談なり、会議の打ち合わせなどをしていた。 中には携帯電話で忙しそうに話ている人もいた。

 大きなガラス張りの窓の向こうを見れば、無数のトタン屋根やパラソルが見えた。 あちらにはあちらの現実が、こちらにはこちらの現実があるのだ。 しかし、この差は一体、、、






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by hitoshi280477 | 2006-02-04 16:40 | Mali
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