Mali vol.9 「 ドゴンの国 その③ 西洋世界発見以後 」 ===未===

 ドゴンの国を短い期間ながら訪れてみて、一つ思う事がある。 それは、「 これから一体どうなるのだろうか? 」ということだ。 それは、やはり実際に、そこを訪れてみないと分かりづらいことではあるが、世界のその他の地域で見られるように、経済優先主義、拝金主義、物質主義といった今まで独自の文化を維持してきたドゴンにはきっとなかったであろう違った観念の流入だ。

 ここを訪れる外国人観光客の数が多くなるに連れ、村を出て外界と接触するドゴンの人々の数が増えるに連れ、その度にドゴンの社会にいつも新しくて違った何かを持ち込んで来た事と思う。 もちろんそれは良くもあり、また悪くもあるのだ。

 そういう外界との接触によって、人々の生活が向上したり、人々の生活が豊かになることは良い事だ。 しかし、その変化の波が急激に訪れているは容易に想像出来ることであり、また事実そうなのだ。 そうなると何が起こるのかと言えば、人々の価値観の変化だ。 そして、その価値観の変化が、人々そのものの変化に繋がって行く事は、まず間違いない、、、







 今ではドゴンのほとんどの村へは、外国人でも行くことが出来る。 そして、その一部はまだダートとはいえ、幹線道路沿いにある。 為に人の移動は楽で(もちろんその費用が賄える者のみだが、、、)、冷蔵庫からは冷えたビールを飲む事が出来る。 まだほとんどの村には電気が通っていないとは言え、四駆車で駆けつけ、冷えたビールを ぐっ とやることも可能な村もあるのだ。

 いち早く外国人旅行者とのビジネスを思い立った者は、経済的に成功しているだろうし、それと同じ様な成功を思い描くガイド志望の若者も多い。 無理してレストランや宿を始める者も多いそうだ。



 そんな中で気が付く事と言えば、人々の物乞いだ。



 一体それがドゴンの国では当たり前なのかどうかは知らないが、人々の物乞いする様子はヒドい。 その人の家を訪れたり、その人の写真を撮るのにお礼としていくらか握らせてはいたものの、何もしていないのにお金をせびってくる老人や大人も多かった。 まあ、コーラナッツというカフェインの強い豆をせびってくるのはよくある事だが、その話はここに来る前から聞いていたことだ。

 そんな中で、一番ヒドかったのは子供たちの タカリ に近い行動だ。 それも、詐欺に限りなく近いと思う。 あの幼気な笑顔で僕ら外国人旅行者の手を掴んで来ては、いつも最後に飴玉やら小銭やらをせびってくる。 それは、ほぼ間違いなく100%の話なのだから怖い。 そして、とても、とても粘り強くせびってくるのだから、こちらも参ってしまう。 手を繋がなくたって、何百mもついて来たり、宿の壁よりも高い所か見下ろすようにして要求して来たり、わざわざ遠くから走ってくるなんていつものことだ。

 僕は数人の旅行者と行動を伴にしていた為に、彼らの行動を見てもいたが、最悪だったのは他のグループの外国人のおばさんが、何もしていない子供たちに飴玉だか何だかをバラ撒いているを見た時だった。 それまで僕らの周りにいた子供たちや、もっと遠くにいた子供たちも、そのおばさん目がけて走って行った。 おばさんにせがめば、無償で何かをもらえると期待して、、、

 そんな子供たちが、そのまま大人になり、実際そんな感じの大人もたくさんいる。 さすがに書体を構えるくらいの年齢だとそういうことは少なくなるが、若い輩は大概そんな楽なことばかり考えている。 人から巧いこと何かをしてもらおうだとか、無償で何かをもらおうだとか、、、







 ドゴンの国を訪れるということは、間違いなく良い経験になった。 彼らの世界観や、宗教観念、生活そのものなどを知ることは非常に有意義なことだった。 それと同時に、俗世間で言う近代化の波とやらに翻弄される部分も垣間見た気がする。

 最後にドゴンらしい景色を見たのは、あの断崖を越えて行くときだった。 その光景は、初めて見た時の興奮もまだ胸のうちにはあったものの、短いとは言えある程度の時間をかけて彼らの生きる姿を見たことによって、もっと胸の奥深くに刻まれるような思いになったのは間違いなかった。



 まるでこの地球の奇跡とでも思える様な場所に生きるドゴンの人々。 そこは聞いていた通りに、実際はそれ以上に「 国 」だった。

 このドゴンの国が、今後どのような道を辿って行くのかは、一旅行者である僕には関心はあるものの、関係のないことだ。 ただ、彼らドゴンの人々が、今日もその胸の内にあるように、自分たちドゴン独自の文化をいつまでも誇りに思っていて欲しい。






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by hitoshi280477 | 2006-02-09 16:53 | Mali
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