、、、と、そう思うのは、よくあることと言えば、よくあることではあった。 勝手に期待しといてそんなことを言ってはいけないのは百も承知だが、やはりそう口にしてしまう時もあるのだ、、、 それはしょうがないだろう? ボボ・デュラッソには、有名な「 グランモスク 」がある。 それは、一応、ジェンネやトンブクトゥにあるスーダン様式で建てれたモスクではある。 もちろん、ずっと昔にサハラを交易路として使用していた頃の話だ。 だから、どこにでもあるモスクというよりは、「 ジェンネやトンブクトゥのような、、、 」などという特別な形容詞がついてしまうモノなのだ。 「 いや~、もっと大きいものを想像していましたよ 」と、一緒にいた日本人旅行者に声をかけた。 どうやら彼も同意見のようではある。 しかも、僕はあの背の高い部分は、何故か三本あるものばかりと思っていたのだから、尚更不服がっていた。 勝手に期待しといてそれはないのだが、ただもっとすごいものを想像していたというのは、心の底から本当だ。 ジェンネのグランモスクと確かに似て非なる外観はあるものの、やはり少しインパクトにかけるというか、それ以上に荘厳さに欠けていた。 なんだか、パッ と見てみて、感じる事は威厳がなく、、、 僕はそういった宗教関連の建物を見る時に、不思議と感じる事があった。 それは、その建物が「 生きているかどうか 」ということだった。 そんなことをどうやって感じるのかというと、それはそこで感じる自分の直感も然ることながら、何よりもその建物が人々によって生かされているかということなのだろう。 人々に敬われ、心の拠り所として信じられ、そして人々に何かを授けているような建物であれば、僕はいつもそこに何かを感じてはいたのだった。 よくよく考えれば、それは極自然なことと思われる。 人無くして、宗教は存在しないし。 人無くして、そういった建物は存在しないのだ。 それを思えば、僕の持っている宗教関連の建物に対する観念は間違っていないと思っている。 しかし、ここではやはり何かに欠けていた。 始めのうちは、このモスクを見て、「 ああっ、何だ、、、 」と思っていたのは正直な気持ちだ。 しかし、辺りを歩きながら、しばし考えてみると、やはりこのモスクには何かが欠けているような気がしてならなかった。 それはまるで、気の抜けた炭酸飲料のような、カフェインのないコーヒーのような、、、 また、信念のない人のような気がした。 辺りを見回すと、すぐ目の前に屋根だけがある集会所があった。 人々はそこにコザを敷いたりして、思い思いに過ごしている。 「 思い思いに、、、 」といっても、その大半はそこでゴロ寝を決め込んでいるだけなのである。 そう、何もしていないだけなのだ。 きっと時間がくれば、そこでいつものお祈りをするのだろうが、それ以上は何をする為にここにいるのか分からなかった。 もちろん、イスラム教徒にとってモスクが重要なのは、僕の様な生半んかな仏教徒にとってのお寺とは違い、百も承知なのだが、、、 「 さて、どうしてよいものやら? 」 自分の中で、消化不良をおかしているこの中途半端な気持ち、、、 とりあえず辺りをしばし歩いていると、近くにいた青年から声がかかってきた。 何か手にチケットのようなモノを持っている。 どうやら入場料なり、拝観料なりを請求しているようだ。 「 お金がいるのか? 」 そんな馬鹿な話はない。 ただ外から見ているだけなのに、何故お金を払う必要があるのか? そう突っ込むと、彼はすぐに切り返してきて、「 中に入れるから、、、 」と言ってきた。 冗談ではない。 僕はいくらそれが可能だとしても、面白半分で、しかもお金を払えば入れてもらえるような宗教関連の建物には興味がないのだ。 しかも、今回はモスクなのだ。 イスラム教に対して、僕は多少なりは理解しているつもりだし、尊重をしているつもりだ。 それは、今まで出会った親切なイスラム教徒に対しての感謝の気持ちから来ているものだ。 なのに、ここでは「 お金を払えば、中を見せてくれる? 」 何たることだ。 彼が本当にイスラム教徒なのか、何なのかは知らないが、そんなことでどうする? 彼は宗教を売り物にしているのか? そんなことが許される宗教ではないと思うのだが? しかも、わざわざ自分で入場券を売り歩いているところが怪しい、、、 とりあえず何だか腑に落ちないので、その話には取り合わなかった。 しかし、気になっていたのは、そのお金と、それと引き換えにもらえる領収書だ。 彼曰く、お金を払えば、その領収書をくれるそうだが、、、 問題はそのお金の使い道だ。 もし仮に、お金を払ったとして、一体そのお金はどこに消えてしまうのか? 彼のポケットに入るのか? その辺の話がどうなのか、突っ込んで聞いてみると、彼は言った。 「 モスクの修繕や、電気代、水道代に使われるんだっ 」 なんて馬鹿げた話なのだろうか? 自分たちの宗教の中で、相当な重要性を占めるモスクの維持費を、通りすがりの一外国人観光客に要求しているのである。 信じられない。 信念も、プライドも、恥もないのだろうか? 一体、僕がどうしてそんなことにお金を使わなくてはならないのか? 勘違いしてもらっては困る。 僕の持っているお金は、僕が一生懸命働いて、しかもそのほとんどを使わずに、長い間かけて貯めてきたものなのである。 その辺で、何もせずにゴロ寝をしていたり、外国人からお金を巻き上げて貯めたものではないのだ。 そんなに大事なお金を、どうして僕と全く関係のない事柄に使わなくてはならないのか? 少しは考えて欲しいものだ。 もちろん、彼らにそんな考えはない。 しかし、残念ながら、僕の考えの中にも、「 求めよ、さらば与えられん 」などという甘い考えは微塵もないのだ。 少しは自分たちで考えて、努力をして欲しいものだ。 そんなやり取りをしばらくした後で、気が付いた。 「 だからなのだろう、、、 」と。 僕の今まで見てきた宗教関連の建物の中で、その教徒たちだけでちゃんと賄われている所はとても輝いて見えた。 それは、もちろん外観だけの話ではなく、やはりそこに人々の「 思い 」が宿っているからなのだろうと思う。 それら、「 生きている 」ものに比べると、ここのモスクが、残念ながら、霞んで見えてしまうのはしょうがないことなのかもしれない。 それは、その当事者の間の話なので、いくら僕がお金を積んだ所でしょうがない話だ。 というか、それ自体どうしようもない話だ。 常日頃、「 人そのものは顔とその目に表われる 」と思っていたが、それと関連した様なことをここで学んだ気がする。 上っ面だけでは、物事は完成しないのだ。 その中に何かがあってこそ、それは本来以上に輝くのだと思った。 人々が、いつかそういうことに気が付いて、自分たちの手で何とかして欲しいものではある。 僕は、見捨てているわけではなく、人々に期待しているのだ。 ただ、それだけなのだ、、、 Copyright (C) HITOSHI KITAMURA All Rights Reserved.
by hitoshi280477
| 2006-02-18 18:05
| Burkina Faso
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