Burkina Faso vol.5 「 幻のアフリカ映画祭 」

 取り立てて何も無いワガの街ではあるが、なんとここでは国際的なイベントがあるそうなのだ。 それは「 アフリカのカンヌ 」とも言われる、「 アフリカの映画祭 」だ。 その名の通り、このイベントではアフリカの各国で制作された映画を発表する場のようだ。 それも、9日間とか、10日間とかいう長い期間行なわれるのだそうだ。

 聞けば、この映画祭を機に、世界に羽ばたいてアフリカ映画もあるのだそうだが? さて、実際、そのアフリカ映画とはどんなものなのだろうか、、、

 一緒に居た日本人旅行者の人は、この映画祭を楽しみにしていた。 僕としては、「 まあ観れるのならば、、、 」というくらいしか、気に留めていなかった。 彼はブルキナ・ファソのビザを取得する際に、その大使館で今年もその映画祭はあるのかどうか確認していて、わざわざ日程を合わせてここまでやって来たのだったが、、、



 「 エッ 今年は無いの? 」

 そうなのである。 宿の人や、街中で出会う人、それに映画館でも確認したが、今年は無いそうなのである。 もともと、その映画祭は、北アフリカにあるチュニジアと交互にホスト役を勤めているそうなのだ。 そして、去年はここでその映画祭はあったという事は、去年ここを訪れていた人たちの話を聞いていたので、僕は知っていた。

 彼もそれは知っていた。 ただ、某ガイドブックには「 毎年行なわれるようになるだろう、、、 」とか、実際ブルキナ・ファソの大使館で確認もしてきたのだ。 それなのに、今年は無いのだった。 無いものは、無いのである。 しょうがない。

 が、それで終わりではあまりにも寂しいので、とりあえず一つはアフリカ映画を観ようという彼の提案に乗って、僕らは映画館にやって来たのだった、、、



 本当は映画祭が開催されるであろう映画館は、ウヤウヤしくも映画のプロジェクターをオブジェをその敷地内に置いていた。 外から見ると、まあそれなりの外観だが、実際に中に入ると、そこは正直少し寂れた感じがした。 辺りにあるポスターを確認すると、どうやら数年前のハリウッドものや、インドのボリウッドものの映画も観れるそうだ。 それらの映画が、一日一回ずつ上映されている。 入場料は1000CFA(=約200円)と、アフリカにしては少し高めだと思った。



 とにもかくにも、「 アフリカ映画 」を一つ観ることにしたのだった、、、

 館内の寂れた感じとは違い、実際に放映する部屋はそれなりに立派だった。 これから観る映画では、恐らく、いやほとんど間違いなく、満席になることはない程の規模だった。 しかも、清潔であり、少し空調も効いていた様な、、、 ダウンジャケットを着ている人もいたし。



 ブルキナ・ファソの邦画だと言われたその映画は突然始まった。 というのは、先程までの他の映画の宣伝との切れ目がほとんどないので、いつ始まったかは分からなかった。 しかも、タイトルが出て来たのは、しばらくしてからのことだった。

 話の内容は、、、 よくある話だった。 家族を持つある父親が、アフリカ特有の経済的困難な状況の中で、娘の病気や、お金のやりくり、強盗被害、仕事の環境、、、 などなどの諸々の問題に直面するというもの。 この映画を観たお陰で、少しは一般のアフリカ人の家庭環境が分かった様な気がする。

 驚いたのは、その撮影の技術、つまりカメラワークと、出演者たちの演技力だ。 何がどうって、思っていたよりもまともなのだっ! これは僕の偏見だと思うが、きっとほとんどの外国人はそう思っている事だろう、、、 「 アフリカの映画でしょ? 」 実際、そうなのだ。 特に、話の展開には言いたい事がたくさんあるものの、その撮影技術と出演者の演技は、まあそれなりのものだった。



 ただ、唯一の問題点とも言っていい「 話の展開 」は、まるでアフリカ人の思考回路を覗き込んでいるかのような気分になった。

 話の展開が早いのだ。 いや、早いというよりは、話が飛んでいるのだ、、、

 次から次へと、舞台が変わり、もしこれが日本の連続ドラマだったらきっと数話分くらいは抜かしている感じだ。 あるべき筈の場面がないので、どうやってつじつまあっているのか分からないが、とにもかくにも話は順調に進んでいく。 なんとも強引な「 アフリカン・ウェイ 」ではある。



 内容そのものはそんな感じだが、映画の中で観る「 アフリカ 」も面白かった。



 娘の病気の為に、お金を工面しなくてはならない親父が、安く買いたたかれながらもバイクを売って何とかお金を作った。 なのに、その路上でお金を数えている間に、横から来た若い娘にお金をひったくられてしまう。 結局、そのお金は戻ってこないので、母方の父にお金を工面してもらう。

 そのお金で買った薬のお陰で、娘は何とか持ち直し、家族は再び幸せを取り戻す。 そんな中、街中で見つけた例の若い泥棒娘に親父は「 少しでいいから返してくれっ 」(←何故、少しなの?)と叫んだ所、娘は逃げてしまい、その逃亡中に車にはねられ、記憶をなくしてしまう、、、

 一体、誰がその手術代なり、入院費なりを出したのかは不明だが、結局その親父が泥棒娘を家に連れてかえるものの、今度はその泥棒娘が奥さんと喧嘩をし、奥さんは出て行ってしまう、、、



 どうしようもない親父は、その泥棒娘を世話してやるものの、努めていた学校の校長のイジメに頭が来て、授業中に子供たちの目の前でその校長を殴って出て行ってしまう。 ちなみに、生徒たちからは、何故か拍手が、、、

 家で頭を抱える親父。 記憶のない少女を巡って、その友達、家族、警察、なんたらかんたらを巻き込んで話は進んでいく。 ←この辺が少し強引。



 最終的に話は、あの校長が実はこの泥棒娘の父親で、その校長の性的嫌がらせを避ける為に、車椅子に座る母親を残して家出をしてしまっていたことが判明。 そして、狂っていた校長が泥棒娘の母親を殺害し、ニュースになったことがきっかけで、その泥棒娘は親父の所に一緒に住むようになり、親父の奥さんが真新しいパソコンを買って、秘書の仕事を(庭先で)するようになった為に、家庭は安定した。 ちなみに、親父の仕事はどうなったのかは分からない。



 そして、最後に親父が「 これが俺の人生だ 」と締める。





 まあ、アフリカによくありがちな人生の一部分を、凝縮した様な映画ではあった。 お金を工面するのが大変な事、泥棒がいること、家族が家出すること、耐えきれず暴力で解決すること、何だかよくわからず、どうしているのか分からないが、とりあえずまだ生きていけること、、、

 それは、とても、とてもアフリカらしい、良く出来た映画ではあったと思う。 観る事が出来て、素直に「 良かった 」というのが、僕の正直な感想だ。 いや、本当に。

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by hitoshi280477 | 2006-02-21 18:13 | Burkina Faso
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