Ghana vol.3 「 クマシの街 」

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 ガーナ北部にあるタマレという街から、乗り合いバスである「 トロトロ 」に乗ること約6時間半、、、 「 クマシ 」に着いた。

 ちょうどガーナの真ん中あたりに存在するこの街は、その地理的理由からか人と物に溢れていて、非常に混雑している街だった。 狭くて、蒸し暑くて、埃まみれの6時間半の移動の後には、少々キツい街ではあった。 しかも、街にはやけに坂道が多いし、、、



 ガーナを南北に走る大動脈的な道路の中継地点ということもあって、クマシは今でも大きな都市である。

 もともと、ここは16世紀頃に栄えていた「 アシャンティ王国 」の首都であり、その当時のクマシは交通の要所であると供に、ガーナ湾岸部への交易路を押さえていたことから経済的にも繁栄していたそうだ。 その都会ぶりは、当時のヨーロッパの都市と比べても遜色が無かったと言われている。

 実際、街を歩いてみて当時の名残を見ることは出来ないが、ただ単に発展している街であることは分かる。 というのも、街のどこにいても、人と物に溢れ過ぎていて、バケツがひっくり返った様な印象を受けずにはいられない。 それほど、クマシの街はある特有の雰囲気を醸し出していた。



 ここに来るまではあれほど乾燥していたのに、ここクマシではそれが嘘だったかのように耐え難い湿度がある。

 タマレからの道中、確かに緑が多くなり、場所によっては南国を連想させる程たくさんの椰子の木がある所もあった。 ほとんどの場所はまるでジャングルの様であり、今まで通って来た場所のように、乾ききった大地や、灌木が生い茂るだけのなんとなく冴えない感じのする土地とは明らかに違っていた。

 道中、見てきたことを思い出せば、そこはジャングルの真ん中を切り開いた道だった。 それを裏付けるかのように、クマシは極度に蒸し暑い。 酷だ。 数日前までは、あれほど乾燥に悩まされいたのに、ここに来て一気に湿度が上がったのだから、体も大変だ。 はっきり言って何もする気にはならない程だ。





 こんなゴミゴミしていて、蒸し暑いだけの街はとっとと出たかったが、バスの出発時間まではしばらくあったことと、旅友に促されて街を歩くことになった。 目指すは、西アフリカ最大 と言われている市場を見に行くことになった。

 これまで市場なんて散々見て来ているので、正直もう飽き飽きなのだが、そんな眠たいことを言う僕の目を覚まさせる程、クマシの市場は大きかった。 特に、高い場所から見下ろすクマシの市場のトタン屋根は、排気ガスで濁った空の下、何処までも続いていきそうな程大きかった。

 近付くに連れて、人とモノの密度が急激に上がっていった。 実際は、人もモノも市場の敷地に入りきれず、市場の周りでも商売をしていた。 それも、まだ市場から距離がある所からだ。 ちなみに、そこでは商売人は手に品物を持って立っているのが普通だった。 というのも、人出が多過ぎるので、お店を持っていない人は洋服なり雑貨なりを手に持って商売しないと、その地域の交通の邪魔になってしまうからなのだろう。



 やっと市場の内部へと潜入出来る場所へ来た時、少し嫌な気持ちがして歩を止めてしまっていた。 嫌な気持ちというと聞こえが悪いが、何だかその市場の内部へと行くことは躊躇ってしまうのだった。 第一、何も買いたいモノが無いので、ただ単に冷やかしで市場に行くことは、なんだか一生懸命商売をしている人に申し訳なく思ってしまうからだ。

 まあ、それは置いといて、結局市場の中へと歩を進めたのだが、、、



 実際、この市場はすごかった。 人々の活気が産み出すある種のオーラが吹き出ているような気がした。 当たり前だ。 ここにいる誰しもが、商売に熱心になっているのだから。 そんな所にいて、何も感じないわけが無い。 その場の雰囲気に少し圧倒されながらも、人の波に揉まれながら歩いて行った。


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 確かにここでは何でも手に入りそうだった。 野菜や果物、日用品から衣類や農作業道具などなど実に多岐に渡る品揃えだ。

 それは見ていて飽きないものがある。

 もちろんそれらに加えて、商売人に食事や飲み物を売る店もあるし、商売をもっと円滑にする為の道具なんかもあるし、更には大八車ならぬリアカーにたくさんの荷物を載せて人の波を掻き分けていく人もいる。 更には、所狭しと並んだトタン屋根の軒先には、たくさんの婆ちゃんたちがトマトやら、玉ねぎやら、干し魚なんかを路上に座って売っている。 はっきり言って邪魔なのだが、皺くちゃになっている婆ちゃんの手を見ると、何も言えなくなってしまう。

 何だか一体利益があるのか、無いのか分からない様なモノを手に、市場の中を売り歩いている人もいる。 中には子供に乳を飲ませながら路上の店番をしている女性もいる。 それほど誰でも商売をしているのだ。


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 そんな中を歩いていると、もちろん思うことは多々ある。

 そこで一番感じたことは、、、 頭の中で理解しているつもりでも、ちゃんとまだ言葉にする事が出来ないのだが、そこで何が買えるとか、安いとかの話ではなくて、現代の経済中心的世界の縮図がそこにはあったと思う。 もちろん生活に必要な物を買い求めるのは何も悪いことではないし、それらを提供するのも悪いことではない。 しかし、ただ単に人々は商いをし、またその利益で他の何かを買い求めているだけなのだ。



 ここでは、右から仕入れたものを、左に少しばかりの付加価値(手間賃のようなもの?)をつけて売っているだけなのだ。 特に何も生産はしていない。 皆がそうやって幾らかの利益を上げ、そしてそのお金でまた違うモノを買うだけのサイクル。 いつまでたっても抜け出せない、経済を中心にしただけの生き方のように見えてならなかった。

 もちろんそこで多大な利益を上げることが出来れば、もう少し違った人生を歩めるのかもしれないが、そこにいるほとんどの人が、そこにいるほとんどの人と同じ様な人生を歩むしかないようなサイクルにいる筈だ。

 一見すると、誰しもが商売に精を出し、それはそれで良い様に思える。 しかし、ここでは、しかもこの規模で、それはいつまでも続いて行く単調なサイクルのように思えてしょうがないのだ。 いや、実際そうだろう。 ここにいる人たちが、ただ単に右から左、左から右への商売をしているだけなら、この人たちの人生はもう決まったようなもんだ。



 酷な話ではあるが、本当にそうだと思うし、実際にそうなのだろう。

 人々はそれを知ってか、知らずか、いつまで経ってもそういう日々を過ごしていくのだろう。 いつの間にやら、人々は抜けることの出来ない経済中心社会に浸かり切ってしまっているのだ。 そんなことが、ここではあまりにも露骨に見えてしまう、、、






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by hitoshi280477 | 2006-02-25 18:59 | Ghana
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