Tahiti vol.5 「 暑くて熱い夜 」

 南太平洋ポリネシア、タヒチの暑い夜と言えば、、、 「 タヒチアン・ダンスショー 」なのだ。 これは僕の中では他の何モノでも覆せない程強い定義なのだ。

 今では観光客向けにしか行われないのがほとんどだし、それが観光客向けなのは当たり前だし、値段も少々かかるし、、、 それでも、ここまで来て、それを目にしない話はないのである。


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 実はタヒチでの歌と踊りは一時期かなり衰退した時があるそうで。 というのも、遠くヨーロッパからやって来たキリスト教宣教師たちが、人々が歌と踊りにのめり込む事を良しと思わなかったらしく、その当時のタヒチの権力者に訴えかけて止めさせたそうだ。 諸外国と良好な関係を築きたかったその権力者は、歌と踊りを禁止してしまったのだ。

 とんでもない話だ。

 けれど、もっと昔に遥か東アジアからカヌーで渡って来た人たちである。 彼らの文化もまた強く、ラテンの血ならぬ、「 ポリネシアの血 」にそれが残っていたのだろう。 今でもこういった歌と踊りを、日常とはいかないが、大事な行事の時、もしくは観光客に対して人々はタヒチのその文化の一端を垣間見させてくれるのだ。

 神話や伝統を織り込んだ歌と踊りの中に、それを観る者は知っておいた方が良い事がある。 というのは、彼らの文化では文字で物事を書き残したりはしなかったそうで、そのほとんどが「 口頭伝承 」によるものだということだ。 想像してみれば、老婆が母親が、老爺や父親が、子供たちにその歌と踊りを教えていた様子が頭に浮かんでくるではないか?



 「 Tiki Village ティキ・ビラージュ 」

 観光村であるこの場所では、タヒチの文化の紹介や、真珠の養殖の様子、それに歌と踊りのショーが行われている。 滞在していた宿からは、歩くと約45分とかなり遠くにあったのだが、そんなことくらいでこの機会を逃す手はなく、僕は真っ暗闇の中を、夜9時頃に始まるダンスショーの為に歩き始めた、、、 幸いにも、歩き出してすぐに地元の人が車を停めてくれて、そこまで連れて行ってくれるというのだ。

 車から歩くつもりだった道を見て、なんとアホなことをしようとしてたのかと思ったのは後での話だ。 真っ暗闇のジャングルの間を歩こうとしてたのだから、、、 それにしても、地元民の優しい面を経験させてもらった。 有り難い話だ。


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 独特の太鼓のリズムに、人々歌声とギターの音が加わって、その雰囲気といったらもう最高だ。 踊りの中にも、女性陣の綺麗な声と甲高く叫ぶ声に、男性陣の太い掛け声が加わって、、、 特に丸いおばちゃんたちの歌声は素晴らしい。 あの体系だからこそ、通りの良い声を出す事が出来るのだろうけど、、、

 それに、衣装も素晴らしい。 椰子の葉や花飾りで出来た衣装は、僕なんかが想像してしまうポリネシアの踊りにはぴったり過ぎる程で、それが何だか嬉しい事でもあった。 実際、裏方でそれら衣装を準備している所を目にしたが、ほとんどの部分は毎回手作りで用意しなきゃいけないし、他の部分だって週一回くらいのペースで作り直さなきゃいけないそうだ。



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 タヒチの蒸し暑い夜のこと、照明に照らされた褐色の肌に、流れる汗が光ってる。 約一時間に渡って披露される踊りはとても激しく、それを観る人を興奮させ、魅了することは間違いない。

 僕が観て感じた事と言えば、、、 それは人々が本当に歌と踊りが好きそうな事だ。 というのも、観光人客用の為のショーなのに、歌っている自分たちや、踊っている自分たちが一番楽しそうであるからだ。 それに、フィナーレに近付いている為に、観客が惜しみない拍手を送っても、更に踊りは続くのだ。 まるで、終わりがないかのように、歌と踊りは続いていく、、、



 本来は、何かの宗教的もしくは慣例的な行事や、お祝いの時などの時のみ行われていたと思われるこの歌と踊り。 それが今では事実上観光客向けに披露されているという形ではあるけれども、それでもタヒチの文化とある一面を目にすることが出来て、僕は何だかとても有り難く思っていた。 これからの人々も、形はどうあれこの素晴らしい歌と踊りを伝承していって欲しいものだ。 もちろんタヒチアンとしての誇りを胸に、、、

 タヒチの暑い夜の熱い出来事、、、 きっと忘れることはないだろうと思う。 またいつか観に来たいものだ。






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by hitoshi280477 | 2005-11-25 08:01 | Tahiti
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