New Zealand vol.4 「 氷河を歩く - Franz Josef Glacier 」

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 南島の西側に「 Franz Josef フランツ・ヨーゼフ 」という小さな街がある。 何でもこの街からは氷河を見に行く事が出来るし、なんと氷河に登る事も可能だとか、、、

 街にある氷河登山専門の会社に行くと、早速ブーツと防寒着、それにアイゼンのような鉄製のスパイクを渡され、バスに揺られること約20分、「  Franz Josef Glacier フランツ・ヨーゼフ氷河 」に到着。 参加を申し込んでから、約1時間足らずで実際に登る氷河まで来る事が出来る。 何とも手際の良い会社だ。

 まだ遠くの方に見える氷河も、実はかなり大きいらしく。 少し曇っているとはいえ、肉眼で見る事の出来る部分はまだ全体の3分の1くらいだとか? この地域は、南島の西側(=オーストラリア・プレート)と東側(=太平洋プレート)がぶつかった所なので、少し景観が変わっているとか。 そう言われれば、むき出しになっている岩山には無数の断層がよく見ることが出来る。 この土地、以前は遥か海底に位置していたとされ、それがまだ遥か昔の地殻変動の際にこの二つの大陸棚がぶつかって、、、 という長い話がある。





 今まで氷河の上を歩く事が出来るとは思っていなかったし、未だかつてそれが可能な場所にも行った事がなかった。 聞いた話では、パキスタンの北部の更に奥地では、個人旅行者が勝手に氷河の上を歩いたりしているらしいが、そこには行った事はなかった。 それに、そこで遭難しそうになった人も知っているし、実際道に迷って自分の衣服を燃やす事で暖をとって凌いだという人の話も聞いている、、、 そんな無茶なことは出来ない。

 氷河の上を歩くというのは、普段全く歩く事のない道を歩くわけで、それなりの準備がないと困るのと、それに予備知識だけでなく、氷河そのものの成り立ちとかも知りたかったので、この会社の「 氷河を歩こうツアー!(和訳) 」に参加することになったのだった。 それでも、実際にはかなりの危険が伴うとのことだが、、、



 そもそも、氷河とは一体何なのか? ガイドの説明によると、、、 「 氷河とは、冬に降り積もった雪の残り、すなわち夏に取り除かれる事の無かった山の高くて寒い部分にある残りの雪の事を指す 」らしい。

 それが、また冬になるとその上に新しい雪が降るつもるわけで、それが上積みの部分の雪の重さで、暖かくて溶け易い下部へと押し出されていくとのこと。 その降雪(増加)と、雪→水→蒸発(現象)のバランスが氷河の大きさを決める要因であり、それは場所によっても違うし、その年の気温と降雪量によって違うのだそうだ。



 ここの氷河は世界でも稀で、かなり低い所の位置しているのだとか?

 それはオーストラリアからやってくる湿り気の多い雲が、この南アルプスと呼ばれる部分にぶつかる事で、たくさんの雪が降る。 その為、通常の氷河よりも約10倍の速さで雪の循環は進むとの事。 その速さ一日に、約250cm、、、 とても速いのだ。

 なので、スタッフたちはこの氷河の登山道を維持する為に、常にその登山道を整備していなくてはいけないそうだ。



 この氷河の形も、異常なまでに速い雪の循環に一役買っている。 というのも、地上からでは見えない頂上部分には、かなり大きな盆地が存在していて、そこではかなりたくさんの降雪があるからなのだ。 そして、その溜まった雪は重力と自らの重みで、地表を滑るように下へと押し出されていくわけだが、、、 出口が狭くて一カ所しかないのである。

 その為に、出口が非常に混雑してしまうという訳である。 またそれが、海抜240mという世界でも他に類を見ない低い部分に、この氷河が存在しうる理由でもあるとのことだ。


a0086274_17533720.jpg さて、実際登る時間になった。

 近くで見る氷河は、さも威風堂々としていた。 あまりにも急に聳え立つ氷河の最初の登り口付近は、登山者を圧倒するには充分だ。 こんなに急な傾斜を僕は想像していなかったので、少し不安にもなったが、別に探検家でもなく、ここに足を踏み入れる第一人者でもないので、きっと大丈夫だろうと思う事に努めた。

 参加者が思いの外多く、総勢36名なのだが、法律でガイド一人につき13名までしかつれていけないとのことから、三つのグループに別れる事になった。 何故か参加者の少なかった「 体力に自信があって、ペースが一番速いグループ 」に僕は振り分けられた。

 参加者の中で、唯一の日本人だ。 張り切るのみ、、、



 さてさて、自信のない者がガイドと共に先に行き、自信のある者がしんがりを努めるとのことだが、、、 まあ、写真も取り易いので良しとしよう。



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a0086274_17542450.jpg 氷河登山は出だしからキツかった。 というのも、まずは慣れないブーツに鉄製のスパイクで、これまた慣れない氷河の階段を登るのだ。 しっかりとした氷河の階段をスタッフとガイドが用意してくれているとはいえ、鉄製のスパイクを付けたブーツで何十人もの人間が登るとあっては、まるでかき氷のようになってしまっている部分もある。

 それに、段によってはかなり高さがあり、僕の足ではほぼ限界に等しい高さの段もあった。 それよりも、何よりもこの氷河階段、、、 傾斜が急なのだっ!! 文句は言えないが、出だしからキツかったのは本当だ。 頼りない、、、 というか、頼りきってはいけない補助ロープを手に、足の力だけで登らなくてはいけない。


a0086274_1754334.jpg 少し高さのある部分まで登ってくると、傾斜はそこまでキツくなくなった。 自然の妙である。 さっきまで、「 登ったら、降りれるのだろうか? 」という疑問が頭を過る程のキツい傾斜だったのに、ここではツアー名の通りに氷河を歩いている感じになった。

 それでも油断は出来ない。 狭い氷河の道を歩かなくてはならないし、時には橋と呼ぶにはあまりにも頼りない梯子をかけただけの橋を渡ったり、たまに早い時間帯に出発したグループともすれ違う時もあったり、、、 そして、たまに足下がやけに心配な部分を歩かなくてはいけないからだ。

a0086274_17545226.jpg 更に高い位置まで来ると、それまで気が付かなかったが、かなり氷河が氷河らしく見えるポイントへと来ていた。

 何故なら、地上から見上げる氷河はあまりにも砂で黒くなっていて、氷河登山の序盤はそれどこではなかったからだ。 振り返ってみれば、この氷河を挟む谷の様子も良く見ることが出来る。

 氷河が溶けるのに充分な気温と、地表を滑るように進む氷河の下の部分が曲がることによって作り上げられる氷河の突出した部分や、大きく割れた部分は自然の「 オブジェ 」だ。

 鋭く突き出た氷河の末端部分は、日の光にさらされてとても綺麗に輝き、深い谷のように割れた氷河の大地の間は、とても神秘的な淡い青に染まっている。 



 氷河の真上を歩いているのだから、これほど間近で氷河を目にする事は他の場所ではちょっと出来ないだろう。 一応、自分の足である程度は登ってきたという事実が実感に変わり、それが「 感動 」に繋がるには充分な経験だった。

 何処かの探検家のように、別段すごいことをしたわけでないのは百も承知だが、やはり「 百聞よりも、一見よりも、一動なのだ。 」 今までの自分にとっての「 未知の世界 」に対して、それを自分で体験する事、それに勝る感動はないと改めて思った瞬間だった。




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 「 結構な運動になるから、ハーフパンツが一番だよっ!! 」という誰かの助言を鵜呑みにしたのは、僕ともう一人の女の子だけだった。

 実際、登っている最中はそこまで寒くはなかったが、降りる時のほうが慎重になる必要があるので、グループはゆっくり進まなくてはならない。 この時が一番寒いのだっ!! ガイドも何かの間違いが起きないように、慎重に慎重を重ねて進んでいく、、、



 故に、ほんのつい先程まで熱く込み上げていた感動も、すっかり冷めきってしまう、、、


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by hitoshi280477 | 2005-10-13 05:09 | New Zealand
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