New Zealand vol.7 「 Heading for the North 」

a0086274_1995188.jpg 朝の6時に鉄道会社の Pick-Up サービスがある為に、朝食やら荷物やらの準備を含めて5時起きで一日は始まった。 乗る列車は「 Tranz Coastal Train トランス・コースタル鉄道 」。

 ついこの前、東側のクライストチャーチから西側にあるグレイマウスまで乗った時と同じ観光列車なのだが、今度はクライストチャーチ発ピクトン行きなのだ。

 何がどう違うのかというと、今度は西海岸を北上していき、その際にやはり景色が楽しめるとあって、バスでも行けるこのルートをわざわざ列車にしたのだった。 それにしても、やはり朝のクライストチャーチはまだ冷えていた、、、



 この前の路線よりも人気が少し衰える為、車両の数も3分の2くらいになっている。 というのも、このクライストチャーチより以北を旅行する人の数はかなり少ないのだ。

 北島に向かう人の中でも、「 安いから、、、 」という理由でそうする人もいるようだが、僕はなるだけ陸路で移動したいので、この列車に乗る事にした。

 まあ、正直言えば、南島と北島を船で渡るという事に対して、何故かロマンを感じただけのことだったのだが、、、





a0086274_1995721.jpg それにしても、この列車はよく揺れるのである。 もっとも、5時間くらいで300Kmを越える距離を移動するのだから速度を上げて走っているのは分かる話なのだが、それでもやはりよく揺れるのである。 この前のように「 オープンデッキ 」が設けられているので、早速行ってみるものの、、、 やはり風が強く、冷たく、また揺れるのである。

 特に写真を撮る時はもう大変だ。

 どんなに踏ん張っても、この列車の揺れではなかなか思うようには写真は撮れない。 この前は山間を行ったのだから、今回よりはもっと寒かったし、観光客も多かったので、それこそ大変だった。 しかし、人が少なかろうがなんだろうがこの揺れの中、写真を撮るのは本当に一苦労だ。

 更に、少しでも風景を写真に収めようとする為に、デッキから外に向かって出来る限りカメラを突き出すのだが、そうすることによってカメラとそれを支える手は強烈な風に負けそうになってしまうのである。

 一緒に写真を撮りに行った英国紳士とやらも、後ろから見ると甚だ情けない格好になってしまうのだった、、、



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 それにしても目に入る綺麗な景色は、言葉で表現するに窮する。

 目の前の緑の多い大地の向こうには、雪を抱いた南アルプスの山々が見える。 空は青く、雲は白いのである。 走る列車の中から景色を観るということは、少なからず雰囲気を盛り上げてはいるのだが、それにしてもその景色の綺麗なことといったら、、、 何だか昔観た夢の中のようではある。

 たまに羊を見かけたり、たまに民家を見かけたり、、、 そんな景色がしばらく続いて行く。



 ところで、今回の路線が前回と一番違う点は、海岸線を行く事なのだ。 しばらく走った後、今度は進行方向右側に海岸線が現れる。 海なのだ。 南太平洋の海なのだっ!

 天気も良かったことから、波打ち際の海の色は薄いエメラルドグリーンのようになっていた。 特に波も高くはないし、日曜日なのに人出は少ないようだった。 きっと地元の人にとっても、まだ寒いのだろう。 たまに見かけるのは、子連れの親子や、犬を連れいている老人が浜辺を走っていたりするくらいだった。



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 小さいながらも湾になっている所では、驚く事に海面に空や雲が写っているのを見かけた。

 水溜まりでもなく、湖でもない、海面での話だ。 名前は知らないが、細長い海藻がその不思議な光景を造り出しているようだった。 驚く程に長いその海藻は、海面でも長く伸びていて、それがどうにかして波を遮っているようなのである。 その為、波が浜辺まで届かない場所がいくつか存在しているのだ。 いくら弱いとはいえ、相手は波なのだ。 それなのに、その海藻のお陰で海面はまるで池に張った水のように静かな面持ちを崩していなかった、、、



 時折見かけるオットセイかアシカは、岩場で日向ボッコか昼寝をしていた。 日曜の昼頃とあって、まるで「 日曜日のお父さん 」を思わせるその光景は、可愛くてしかたなかった。

 海岸線を走っている時に、ふとその先を見上げれば、なんと南アルプスの雪山が、海岸線と同時に見えるのだ。 そんな光景を今まで見た事なかったので、僕は必死で写真を撮りまくったのだった。 しかし、その頃、列車はトンネルをいくつを抜けて行っている時だったし、海岸線の線路はカーブがキツかったのでなかなか思うようには写真は撮れないのだった、、、



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 ほぼ予定通りに列車は「 ピクトン 」の駅に着いた。 僕の乗ってきた列車にとってはここが終着駅なのだが、これから乗る船にとっては出発点だ。 それは北島から来た旅行者にも言えることでもある。

 うまい具合にスケジュールが組まれているので、今朝船に乗って北島を出発した人たちはこれから列車に乗って南島の更に南を目指し、今朝列車に乗って南島を北上してきた人たちはその船に乗って北島を目指すのである。

 そんなわけで、預けてある荷物は勝手に列車から船へと運ばれて行き、船のチェックインはYHで手配してもらった時にプリントアウトしてもらった用紙一枚で済んでしまうのである。 いつぞや乗ったバングラディッシュの船や、エジプトの船とは明らかな違いがあった、、、



a0086274_19111074.jpg 船が南島を離れて行く、、、

 二週間程の短く、また忙しい滞在ではあったが、非常に興味深く、有意義な南島の旅ではあった。 そんな事を思うと、少し切ない気持ちにもなったが、旅とはえてしてそういうものであることは、もう充分理解していた。 ただ、船に乗り、今までいた土地を目にしながら離れて行くというシチュエーションが、そういう気持ちを更に強くさせているのだろうと思った。



 南島と北島を隔てているこのクック海峡を渡るには、時間にしてたった3時間だった。






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by hitoshi280477 | 2005-10-17 05:15 | New Zealand
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