Australia vol.9 「 Aboriginal Sanctuary - Uluru  」

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 きっと僕は人々に、あの特別な場所のことを、こんな風に話をするんだろうと思う、、、

 「 オーストラリア大陸には、もうずぅ~っと昔、何千年も前にオーストラリアに渡ってきたアボリジニー(=先住民)の祖先が住んでいたんだって。 その祖先たちは大陸の北から海を渡ってここへやって来て、、、 当時はまだ海面が今よりも200mほど低かったらしいからね。 この大陸の土の質は農耕には適していなかった為に、食料や水源を求めて移動を繰り返したりしていて、人々はより狩猟や採集をすることによって日々の糧を得ていたんだって。 そんな生活をしているうちに、人々はこの大地のことやここに住む動物たちのことをもっとより理解するようになり、またその自然の中に超自然的な何かや、神の存在のようなものを見出していたんだろうと思う、、、



 もちろん独自の文化も発展していって、それは現代に生きる彼らの子孫も大事にしているんだ。 それは例えば、自然の教えや自然そのものについて、また動物たちのこともそうだし、民族の規律、言葉や食習慣なんかをね。

  こんな大自然の中を生き抜いていた人々はきっと逞しい人々だったに違いないと思う。 食料の生産が極めて難しく、また水源といった人間が必要とする最低限の物資でさえ確保するのが大変だったことを考えると、その生活は僕らの想像を絶するんだ。 砂漠のように乾燥していて、日差しのキツい中、食料の確保すなわち狩猟や採集をしなくてはいけないことを考えると、、、 大変な苦労だ。

 しかし、そういった困難な生活があったからこそ、僕たちが今日に見ることの出来るアボリジニーの人々の生活が伺い知れる。 特に、自然を利用した生活用品や狩猟の時に使われていた道具なんかは知恵をしぼって作り上げられたことがよく分かる。 同じ時代に、僕がそこに生きていたら、一体どんな生活をしていたのか? ちょっと想像出来ない、、、 」


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 「 そんな人々の生活の中で、彼らはある時ものすごいものを発見したんだ。 それはアボリジニーの言葉で「 Uluru ウルル 」といって、「 日陰の場所 」という意味がある特別な場所。

 今では「 Ayers Rock エアーズ・ロック 」とも呼ばれているけど、それはずっと後からこの地に入ってきた英国人が当時の偉い人の名を付けただけで、何の意味も持たないんだ。 そのことは皆あんまり知らないけどね、、、

  このウルルは、高さが約350mもあって、驚くことに一枚岩、、、 一つの岩でしかないんだって。 それでも、周囲は約9Kmもあって、今現在地上に出ている部分は全体の約1/3でしかなく、残りの2/3はまだ地下に埋もれているんだって。 こんなに大きな岩が存在するなんてちょっと信じられないけど、実際ここにこう存在しているんだ。


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 じゃあ、一体どうやってそんな大きな岩が存在したのかというと、今の研究調査結果で分かっていることと言えば、、、

 ずっと昔、約3億5000年前にはこの地は高さが今のアンデス山脈と同じくらいあったんだって。 それが、地表に降り落ちる雨水と激しい風によって浸食を繰り返していって、それが気の遠くなるような年月を経て現在に至っているんだ。

 それで、今残っている部分、すなわち目にすることの出来る部分は、他の地よりも鉄分が多く固かったことからあまり浸食が進まず、結果残っているということになっているんだ。 ちょっと信じられないようだけど、そういう話になんだって。

 ちなみに、浸食されて、落ちていった土は、大地に吹く風によって遥か遠くまで運ばれていってしまったそうだ。 土の成分の中に、高い割合で入っている鉄分が酸化して錆びた結果、この大地やウルルなんかは赤く見えるんだ。 正に自然の神秘だね。



 そんなウルルをアボリジニーの人々は聖なる土地として崇めていて、それは今でも強く人々の心の中に浸透しているんだ。 それは宗教でもなんでもないけど、朝日や夕日に照らされるその神々しい姿を目にすれば、きっと誰でもそう思うことだと思うよ。 それほどウルルの存在感はすごくて、何かを感じさせられるからね。 きっと当時の人々もそう感じていたに違いないと思う、、、 」


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 「 当時の人々にとって、ウルルは近寄り難い聖地であったかどうかはちょっとわからない。

 ウルルに近付いてみると、そう僕が疑問に思うのが何故だか分かる。 まずウルルのある部分は、男の人にとっての聖域であり、またある部分は女の人にとっての聖域であったりもする。

 それに、ある大きく窪んだ部分は狩猟に使われていたし、またある部分には当時の人々が描いた壁画が今も残っているんだ。 自然の素材を使って描かれたその壁画は水源や、動物や、人々なんかを表現したりしているんだって。 古いものは、1000年くらい前のものだって話だ。



 今日でも年に一回だか何回だかにアボリジニーの中の偉い人たちがウルルに登って、何かしらの儀式をするんだ。 ただ、向こうに行けばわかるけど、どのアボリジニーの人々も自分自らウルルに登ろうとは思っていないし、また見知らぬ土地からやって来た人々にも登って欲しくはないようだ。 あたり前だけど。

 実際、ウルルが登れるようになっているのには理由があって、アボリジニーの人々や一部の外国人にはやりきれない思いだろうけど、実は今ではアボリジニーの人々にこの土地の所有権があるものの、何らかの話し合いで、ウルルそのものとその周辺はオーストラリアに99年という期限付きで貸し出ししているらしい。

 元々アボリジニーの人々が先にこの土地にいたことを考えると、とても馬鹿げた話だけど、実際そうなっている。 まあ、登る人の倫理観というか、アボリジニーの人々の文化をどこまで尊重出来るかって話だけど、、、 個人的には、「 他人の家に土足で入るような真似はしたくない 」。 自分に選択肢があるからこそ、、、だ。 


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 「 僕も最初はそう思ってただけだったよ。 ただ、この目で見てみたいってね。 一目見ることが出来ればいいってね。 でも、実際にその場所に訪れて、ウルルの姿を目にしてみれば、思ってた以上に心に感じる何かがあることに気付いたんだ。

  それは言葉ではちょっと表現しにくいかもしれないけど、このウルルと呼ばれる地上に存在する大きな岩は、何億何万年という時を経てここに存在している。 この地上がまだ陸続きだった時も、まだ寒かった時も、また現代に至っては非常に乾燥していて日差しが極度にキツくても、、、 いつの時代もここに存在していたんだと思うと、そこに何かを感じぜずにはいられないんだ。

  それは、僕が産まれるもっと前とか、そんな規模の話ではなくて、きっとこの地球が誕生した時から、この地球のどっかにウルルは存在していて、それが気の遠くなるような時を経て、今日のこの姿があり、またそれがこれからもずっと続いていくのだという事実を知れば、、、 そこには言葉にならない感動があるよね? 」





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 「 僕はあの特別な場所で、

  朝日に照らされるウルルを見てはそう思い、
 
  夕日に染まるウルルを見てはそう思っていた、、、 」






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by hitoshi280477 | 2005-09-19 05:10 | Australia
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