紀元前から続いていたシンハラ王朝は、インドからの侵入者によって遷都を繰り返し、大航海時代のポルトガル・オランダには植民地支配され、遂にはその後のイギリスによってシンハラ王朝は2000年の歴史に幕を閉じた、、、
キャンディはその最後の300年間以上、シンハラ王朝の都だった。 その様子が今も知れるのは、そこに旧王宮跡や、人造のキャンディ湖、それに何よりも、いつの時代でも権力者の象徴だった「 仏陀の歯 」が、今もこの地にあるということだ。 「 古都 」というと静かだが、どこか威厳のある街並を想像しがちだが、僕の目でみた「 古都 キャンディ 」はそんなことはなかった。 静かなのはキャンディ湖の周りと、街を外れた郊外のみ。 街中では、あの忌まわしい「 TATA 」のオンボロバスと「 三輪車 」がまるでレースに参加でもしているかのように走り回り、肉眼で確認出来る程の排気ガスを巻き散らしているのだっ! ハッキリ言ってうるさいっ!! かろうじて静かなキャンディ湖も、周囲3Kmくらいはあるのに、そこにあるベンチの数は数える程しかない。 綺麗な面持ちをした湖畔だが、何所にも座って休める場所もないのだから、わざわざ歩いて一周などいたくもなくなる。 残念だが、しょうがない、、、 キャンディの街で一番驚いたというか、関心を持ったのは、一つの街に四つの異なる宗教施設がひしめき合っていることだ。 仏教、キリスト教、イスラム教、それにヒンドゥー教。 それぞれが、それぞれの宗教施設を街の至る所に建てているから、街の中はそりゃもう賑やかだ。 一日のうちに何度か流れるアザーンを始め、夜にはヒンドゥー寺院から怪しげな音楽が沸き起こり、日曜日には礼拝の為に教会へと集まる信者たち、それにスリランカを代表する仏教寺院「 仏歯寺 」に人が絶えることはない、、、 キャンディの街はそんな所だ。 しかし、街の中心地を構成しているのは小規模の商業店舗ばかり。 他の街とちょっと違うのは、ここには宝石商が多いということだろうか? 疑問に思ったことと言えば、あまり食堂といった感じの所はなく。 あると言えば、ベーカリーだ。 旅行者としては、慣れ親しんだパン食なので、有り難いと言えば有り難いのだが、、、 そして、たまにある食堂と言えば、外国人客は初めてのようなところしかない。 そして、あるものはと言えば、やはりカレーだ。 とは言っても、こちらのカレーはほとんどルーのないカレーなので、大盛りご飯の上にカレー味のお惣菜が何点か付く感じになる。 変わった食べ物と言えば、「 コットー 」なるものだ。 「 それは何なのか? 」と尋ねられると、説明がしにくいが、言うならば「 小麦麺の焼きそばカレー風味 」だ。 餃子の皮のような生地を、何度か織り込み、そしてそれを鉄製のヘラで細かく刻んでいくのだ。 いろんな種類の香辛料を混ぜ合わせながら炒めていくわけだが、何せ鉄板の上で、鉄製のヘラを使っての料理。 物凄くうるさいっ!! しかし、料理人にとっては、どれだけリズム良く音を立てながらその料理を作れるかが自慢したいところなのであろう、、、 どの食堂でも、その音が静かなことは一度もなかった。 「 仏歯寺 」 紀元前543年に没し、火葬された仏陀。 その後の4世紀に、インドのとある国の王子が頭髪の中に隠し持ってきたと伝えられる「 仏陀の歯 」が、今日現在祭られているお寺。 いつの時代からか、スリランカではその「 仏歯 」を王権者の象徴とし、「 仏歯 」の置かれている所が都と定められてきたという。 そういう意味もあって、ここ仏歯寺ではいつも人陰が絶えることはない。 その光景は、ここが「 聖地 」と呼ばれてもおかしくない程だ。 もちろんスリランカを代表する仏教寺院だけに、外国人観光客の数も多い。 しかし、その肝心の「 仏歯 」。 実際この目にするのは難しいようだ。 何か重要な儀式でもない限り、その実物を目にすることは出来ないとのこと。 毎年行われる「 ペラヘラ祭 」の時に、やっと登場するかしないかの代物だそうだ。 まあ、見てもそれが本物なのかどうかなんて誰にもわからないと思うが? それが、例えばタイ、ラオス、ミャンマー、チベットといった仏教が深く入り込んでいる地で、こちらとしてもその先入観の強い所なら話は別は早い。 しかし、インド人や、ネパール人、バングラディッシュ人に似た顔つきの人たちが、うやうやしく祭られている建物とかに、手を合わせて祈りを捧げているところを目にすると、正直ちょっとあっけにとられてしまう。 もちろん、皆大真面目である。 そんな僕の先入観とかで判断してはいけないが、とにかく僕の目には異様に写ってしまうというのが本音だ。 しかし、その信心深さの裏には、やはり仏教に対する理解と尊敬といった裏付けがあるからなのだろう。 僕のように「 家族がそうだから 」などと言うにわか仏教徒には、その真意が分かることはないだろう。 「 キャンディアン・ダンス 」 宗教儀礼というのが、事の発端だったキャンディアン・ダンス。 その最初の目的は悪霊払いだったと言われている。 それがキャンディに王朝があった時代には宮廷での踊りとして、そして今日ではその宗教儀礼的なものの中にスリランカ各地の民族舞踊を組み込んだものになっている。 また、「 ペラヘラ祭 」という年に一度の大きな祭の時にも、その踊りは披露されている。 南インドの民族舞踊と音楽との共通性が見られるが、今ではスリランカを代表する民族舞踊となっていて、観光客にも容易に観ることの出来るものとなっている。 舞台そのものは、太鼓や笛などを中心に、十項目の異なる踊りで構成されている。 中には太鼓のリズムだけのシンプルなものもあるが、他にはコブラ使いや、衣装のド派手な踊り子たちが出てくるもの、それに皿回しなどもあり、それぞれちゃんとしたテーマがある。 正直、それっぽくて僕は好きなのだが、その十項目の中に、何故か「 国歌斉唱 」と「 ファイヤー・ダンス 」なるものが入っているのが、イマイチ不可解だが、、、 Copyright (C) HITOSHI KITAMURA All Rights Reserved.
by hitoshi280477
| 2005-08-17 18:11
| Sri Lanka
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