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Colombia vol.5 「 ディスコティカ・デビュー 」

 生まれてこのかたディスコというところに行った経験がない。

 もともとダンスというのもに興味を抱いたことはなく、苦手意識もあったことからダンスを敬遠していたクチだ。 更に付け加えて言えば、僕を含めた我が家では誰一人として音楽の才能がある者はおらず、特に僕なんかは小学校の頃から音楽の授業は好きではなく、その証拠に成績はいつも「 がんばりましょう 」だった、、、





 「 ダンスフロアが踊っている? 」

 初めて見た「 ディスコティカ 」の印象だった。 薄暗く、煙草の煙でいっぱいのその空間はそこだけ色とりどりの明かりによって眩いばかりに照らされていた。

 そして、たくさんの人でごった返していた。



 ( 格好いいな、、、 )



 今までのイメージからすると、大抵の女の人はダンスならぬ踊りは上手だ。 それは先天的のようにさえ感じられる。 一方、男と言うと、、、大抵は駄目だと思う。

 特に日本男児は、、、 悲しいかな、盆踊りのように昔から接点のあるものでさえ、日本男児には厳しいところだ。 しかし、ここ「 CALI カリ 」 の男たちは違った。 それは僕の今までの男のダンスに対する概念を変えるほど凄かった、、、



 というのは、ここは南米コロンビアのカリという街、サルサで有名な街だけあってディスコティカが大通り沿いに軒並みあって、いつもサルサの音楽がどこからともなく聞こえてくるような街なのだ。

 そして、サルサといえば男の人がリードを取って踊るものらしく、ディスコティカでのダンスもこのサルサをベースにしているようだった。 だから、ここの男たちは皆ダンスが上手であることがあたかも男であることの証明であるがごとくダンスが上手なのである、、、 激しく、情熱的で、格好良く、それを苦手としつつもいつか挑戦してみたいと思っていた僕にとってそれは至極新鮮なものだった。

 好きでもないビールをちびりちびりやりながら、僕は飽くことなく見ていた。

 そして、とあることを思い付いていた、、、





 「 Uno, dos, tres,,, ? 」


 「 Uno, dos, tres,,, ?? 」


 「 Uno, dos, tres,,, ??? 」


 ( この足がこう来て、それでこっちの足がそこにいって、そんでこうなるから、そしたら、、、 、、、 ??? )





 「 コースは30時間で50000ペソ(約$20)、講師は二人います。 日曜日以外の毎日午後3時から8時までやっているので、好きなときに来て好きな時間だけやります。 大抵の受講生は土曜日に来ることが多く、、、 」

 説明を最後まで聞く前に僕の腹は決まっていた、、、 サルサを習うのである。

 サルサが有名なこの街で、それが男を磨くことになるのなら、やってやろうじゃないかということだ。 別にサルサを踊れることが南米で女の子にモテる条件というからではなく、至って個人の興味、関心ごとから来る、、、





 自分の背丈ほどもある大きな鏡を前に、教えてもらったばかりのステップを練習する。 難しい。 もともとダンスも音楽もセンスがないのだから、その両方の音楽に合わせて踊ることは僕にとって途方もなく難しいことだった。 まして講習はスペイン語、、、 前途多難なことのように思えた。

 それでも、月曜日から始まった講習に僕は一生懸命に、真面目に取り組んだ。 慣れない動きに始めのうちこそ、ふくらはぎの筋肉痛に悩まされたものの、水曜日には少しまともにステップが踏めるようになったと自分でも実感できるようになり、金曜日には先生に相手になってもらい音楽に合わせて何とか踊れるようになった。

 しかしながら旅先でのこと、時間が許したのは土曜日までで、計12時間の講習で終わってしまった。





 土曜の夜。 先週来たディスコティカにこれも勉強のためと思いやって来た。

 ハロウィーンのある週末とあって、先週よりもたくさんの人で賑わっていた。 その数2倍以上。 真ん中にあるダンスフロアで踊れない人たちが通路で踊ったりするほどの混雑ぶりだ。 一週間だけとはいえ、毎日真剣に取り組んでいたかいあってか、流れている音楽が自然と耳に入るようになっているのが自分でわかった。 みんなのステップを見ていても、、、



 「 一緒に踊らない? 」



 突然、前のブースに座っていたコロンビアーナが声をかけてきた。 美女が多いことで知られるこのカリでも見たことがないほどの可愛い娘だった。 美女からあまりに突然のお誘いにたじろいでいる僕にその娘はもう一度、、、



 「 一緒に踊ろうよ! 」



 と、再度嬉しいお誘いが!! 少し躊躇ったものの、こんなチャンスを逃してはそれこそ男が廃るのである。 それに何のために一週間も教室に通ったのも意味がわからなくなってしまう。 勝負(?)の瞬間が来たのである!



 彼女に手を引かれ、憧れのダンスフロアに立つ。

 そこは端で見るよりも、明るくて、賑やかで、熱気があって、楽しいところだった。 曲はメレンゲ。 サルサとはことなり、ステップもどちらかというとただ足踏みをしているような感じで、後は曲に乗って、好きなときに相手をターンさせてあげればよいのだ。 つないでいる手を上げたりすることで、相手はターンを始め、時には自分も一緒になってそのターンに加われば良いのだ。 そこまで難しいことはなく、どちらかというと単純で楽しいのである。



 僕のリードでターンする彼女。 微かに微笑んでいるのがターンの合間に見える。 あたかも( あなたなかなかやるじゃない! )とでも言いたげな視線を投げかける彼女。

 二人の間に少し距離を空けていた僕に彼女は僕の右手を取って、彼女の腰にまわす、、、 僕は調子に乗って、いろいろなターンを試してみる。

 僕とのダンスに彼女の微笑みは絶えることなく、、、





 ( 、、、 )





 ( 、、、 )





 (た、楽ひぃーっ!!)





 この上なく楽しい瞬間だ。



 しかしながら、曲は5分ほどで終わってしまった。 久しぶりに胸が高鳴る瞬間だった。

 それもこれも東洋人に対して排他的なこの中南米にて、彼女の誘いがあったからこそ。 しかも、本気で可愛い娘だ。

 席に戻って、ふと思ったことから僕は彼女の歳を聞いてみた。





 ( 、、、 )





 ( 、、、 )





 どどっーん!Σ( ̄□ ̄;)

 信じ難いことに、彼女は 16歳 だった、、、

 ( 16歳といえば、高校生じゃないかっ!! )



 何たることだ。 僕は女子高生に逆ナンされて、踊り、ウハウハしていたのかっ!

 女子高生と踊るなんて日本では有り得ないことだろうし、ましてや手を握り、腰に手を当てるなど性犯罪を犯しているような、、、



 ( まっ、楽しかったからいいか、、、 )






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by hitoshi280477 | 2004-10-21 19:18 | Colombia
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