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Colombia vol.6 「 Novias en Cali 邦題:カリの恋人たち 」

 コツッ、コツッとハイヒールの足音の様なものが薄暗い廊下の向こうから聞こえてきた。

 その足音が近づいてくるにつれ、それまでぼんやりとしていたのが次第にくっきりとしていき、柔らかめのシルエットが僕の前に立ちはだかった、、、





 「 Buenas noches, Jennifer 」



 彼女はそう挨拶し、握手を求めると甘い香りを残して再びその薄暗い廊下の先へと戻って行ってしまった。





 寂しげで廃屋のような外観とは裏腹に建物のなかは少し暖かみのある感じがした。

 それはきっとこの建物の中にはたくさんの人の気配がしたからなのだと思う。

 それにしても、あの鉄格子を備えた扉の向こうにこんな世界が広がっているとはきっと誰にもわかるまい。

 あの扉の向こう側に行くまでは、、、





 「 Mucho gusto. Sandra. 」

 「 Jasmin. Buenas noches. 」

 「 Hola, como esta? Catarina. 」

 「 Buenas noches. ... 」

 「 ... ... 」

 「 ... ... 」



 一人目の女(ひと)が登場してからは続々と現れた。

 皆、代わる代わる挨拶をしては握手を交わしていく、、、 少し頭が混乱してきた。 一体何人の女ひとがいるのだろう?

 この女(ひと)たちは皆モデルのようにキャットウォークで歩き、時に鋭く、時に人をなめるような目つきで見ていく、、、 身に着けている物と言えば、普段着の女ひともいるが、下着のような、何か???のような、、、

 僕には少し表現しにくい物のみ身に着けている女ひともいる。 皆共通だったことと言えば一つ。 甘い感じのする香水の匂いが、僕には少しキツかったことだ、、、





 大きな鏡がある以外はひどく殺風景な部屋に通された。

 明かりと言えば、シャワールームと呼ぶよりドアのない水浴び場と呼んだほうが相応しい感じのするところからの漏光のみだった。

 そして、何処にでもあるプラスチック製の椅子が無造作に置いてあるのみだった。



 その女ひとは言った。 「 早く服を脱いで 」と。



 その女ひとは言った。 「 早くベッドに来て 」と。



 そんなに急かす女ひとは初めてだ。 指示されるままにベッドに横たわるとその女(ひと)は僕に飛びつくようにやってきた。



 「 Como se llama? 」 ( 名前は? )



 「 De donde es? 」 ( 何処から来たの? )



 その場限りの仲なのに、どうでもよいことを聞いてくるものだな、と思った。 いや、もしかしたら、こういう女(ひと)たちはそうやってサービスするものなのかな?などと思っていると、柔らかい何かが僕の体を包みだしたことに気づいた、、、





 、、、





 、、、





 、、、





 「 じゃあ、また来てね。 」



 その女ひとはそうい言うと、頬に頬をつけ、軽くキスをすると再び薄暗い廊下へ颯爽と戻っていってしまった。

 扉の外へ出た。

 夜の帳は完全に降りていて、辺りに人影はなく、物音もせず、ただひっそりとした夜があった。



 振り返ると、そこにはさっきまでと何の変化もない寂しげな建物があった。

 いや、変化はあった。

 その建物の中の世界を知ってしまった僕には、表現がしにくいながらも、何かしらの変化を感じていた。 



 夜道を一人歩きながら思った。

 「 性に生を求め、性に糧を求める 」。

 いろんな世界があるもんだなぁ、、、 と。  




 ちなみに、コロンビアのソレは合法ということなのだ。 時折警察が店内を巡回しにやってくるほど。

 合法なのだから、ソレにて生活費や学費を稼ぐ女学生も多い、、、

 いろんな人生があるのだなぁ、、、 と思う。
 


 ちなみに、ちなみに。

 挨拶を交わす時に握手をするのだが、その時の手の握り加減で相手にもやる気(ヤル気)があるのかどうなのかを判断できるということも学びました♪

 まぁ、それはあんまり役立つ学習ではないか、、、






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by hitoshi280477 | 2004-10-22 19:21 | Colombia
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