Peru vol.3 「 旅人の気持ち 」

 僕は正直気落ちしていた。

 今まで約二年に渡り、アジア、ヨーロッパ、中東、中米を旅行してきた経験があるのにも関わらず、まるで今まで海外旅行をしたことがないように、泥棒たちのつまらない小技にひっかかってしまい旅の全財産とでも言うべき、バックパックを丸ごと取られてしまったのだ。

 更にその中には本当にたまたまと言っていいほど現金やT/Cを全部入れてしまったいたのだ。 常識で考えたらそんなことはしないのはずなのだが、、、

 誰かが言っていた、、、



 「 そういう時に限って事件は起きる 」





 人に話せば、「 今までそういう事がなかったのが不思議なくらいなのだから、運が良いほうなんだよ、、、 」と言うかもしれないが、、、

 僕は旅をしてきた自分が少し信じられなくなり、これから先南米の旅はまだ続くのに何だか気が乗らなくってきてしまった。 正直、一度日本に帰ろうかと本気で迷った。

 帰ったところで盗られた荷物が戻ってくるわけでもないし、何か良い事があるわけでもないし、逆に往復の航空券代だけで10万円以上するし、それにそれは何だかここを逃げ去っていく負け犬のようにさ思えるのだが、、、



 迷っていた。





 買い物に出る事にした。

 気分転換と言えれば良いのだが、何せ替えの下着さえ持っていない状況だ。

 必要に迫られて行くことになった。



 買い揃えなければいけない物と言えば、替えの服に下着、洗面用具にコンタクト、サンダルなんかも必要だから、、、 そう言えば、それら全ての荷物を入れるバックパックもない。 何てことだ。 僕は荷物を入れるバックパックさえも持ってないのか、、、

 そういえば日本を発つ前、今回の旅行に備えてもう少し大き目のバックパックに買い替えようかと迷っていたのだが、せっかくあるのだからわざわざ買うのももったいない、もし仮に盗られたりしたら買い替えよう、、、 などと考えていたこともあったなぁ。



 さて、全てを買い揃えるのに何も質の良いものを買う必要はない。 要は事が足りればよいのだ。

 今までがそうだったように、必要な時に必要なものを揃えていけばよいのだ。 「 備えあれば憂いなし 」と、人は言うが、あれだけの損失を受けておいて全てをまた元のように揃えるというのはちと無理がある。

 それにここは日本ではないのだから、いくらお金を積んでも買えないものはたくさんある。 いくらリマが大都市といえどそれは無理というもんだ。



 目指すは中華街の隣にあるメルカド( 市場 )だ。



 まずは下着類から買う事に。 そして、Tシャツに靴下、サンダル、、、これから標高の高いところが続くからセーターも。 セーターっといっても、500円くらいのものを。 更に寒がりの為、布屋さんに行ってフリース地の毛布を購入。 1mが12ソルだから、2m24ソル( 800円 )をこれからの高地できっと約に立ってくれるだろうと信じて購入した。

 それらを入れるとりあえずのバック、中国製のレジャーシート地の袋を購入。 中国製だけに柄はセンスのかけらもなく、ひどく目立つヤツだが事が足りればとりあえずそれで良い。





 人に尋ね、値段を交渉し、何とか荷物を少しずつ揃えていく過程で、不思議とまた一人旅を続けられるような気になってきた。

 もちろんその為の買い出しをしているわけなのだが、何故かそう感じずにはいられなかった。 

 物事がまだ自分の思うように進む兆しが垣間見えてきたからなのだろうか?

 たかだか買い物をこなしたくらいでそんな気になってしまう自分がよくわからないが??





 「 大丈夫、これなら行ける 」



 まだ満足に荷物が揃ったわけでもないのに、何となくそう思った。



 結局、モノを充分に持っていなければ一人旅を続けられないかというと、そうでもないことに気付いた。 もちろん異国を単身旅していく中で自分の納得できる物や使い慣れた装備がないのは心細いことなのだ、、、



 が、旅は続けられるのだ。




 旅に対する「 勇気 」と、 「 好奇心 」と、「 情熱 」とさえ持ち合わせていれば。






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by hitoshi280477 | 2004-11-23 19:21 | Peru
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