「 ナスカ 」と聞いたら、「 地上絵 」と答えるほど、それは有名な話だ。
今から千年も二千年も前に描かれたその地上絵は、、、 今日でも健在だ。 幾何学模様、動物、植物、魚、虫、空想上のもの、、、 などなど色々なデザインからなるこの地上絵の数々は、砂漠という広大なキャンパスに広範囲に渡って広がっている。 しかしながら、その砂漠気候こそが今日に至るまでその地上絵の全容を保存していると言っても過言ではない。 地上絵そのものは大きくて、又一つ一つ離れている場所に存在しているので地上からの視線では目にする事が出来ない、、、 「 誰が何のために、、、 」 この地上絵には未だ解明されていない部分が多々あるらしい。 特にこれらた創造した人物、またその理由、用途などである。 「 誰が造ったのか? 」という点については非常に面白い説が出ていて、宇宙人説、空飛ぶ人間説、鳥人説、熱気球説などが挙げられている。 解明されている事と言えば、「 パンパ・インへニオ 広大な平原 」を覆っている黒い石や砂をどけて、白っぽい地面を出す事によって線を作り上げているということだ。 「 実際は結構しょぼいよ 」 「 がっかりするかもね 」 「 あんまり期待しないほうが、、、 」 と、数々の不評を聞いていたにも関わらず、僕はこの地上絵を見るには一番良いとされているセスナでの遊覧飛行に参加する事にした。 実は、特別に設置された見晴台もあり、それは無料だということなのだが、、、 こんなトコまでやって来て、しかも人類史上類をみないほどの「 傑作 」を前に、そんな中途半端にしてはもったいな過ぎる、、、 ここはいくらお金がかかっても、ベストな方法でその傑作を鑑賞するべきだと思った。 朝早く街からタクシーに乗り込んで、飛行場を目指す事にした。 運ちゃんは僕がどこの航空会社とも予約をしてない事を知ると、一番良いとされている会社で降ろしてくれた。 航空会社といっても、小さなオフィスに待合室があって、オフィスの向こうのほうにセスナらしき小さな飛行機が3、4台見えるだけだった。 想像していたのと違ったのは、ここには飛行場にオフィスが集まっているんじゃなくて、飛行場にオフィスが点在しているのだった。 無論、飛行場は一つしかないのだが、オフィスと飛行場の間にはここいらの大動脈とも言うべき、パンアメリカンハイウェイが走っている。 「 今のシーズンは$35だ。 」 そう言われると、実際には聞いてみたものの、値引き交渉をする気にはなれなかった。 実を言えば、料金が少しばかり安くなるかどうかなんてどうでも良いのだ。 どちらかと言えば、高い料金を払ってでもまともに物が見れればそれで良いのだから、、、 パイロットと同乗者2名に僕を加えた4名を乗せたセスナが唸り声を挙げていくのと同時に加速からくる重力が伝わって来た。 事前にパイロットから受けた簡単な説明の時に手渡された地上絵の位置関係とフライトルートマップを強く握り締めた頃、、、 僕らは空上の人となった。 エンジン音が大きい事から、 鉄の塊に乗って飛んでいると実感せずにはいられなかった。 小型で小回りが効くということは、よく揺れるということでもある。 それはまた、風の影響も受けやすいということでもある。 外からどう見えるかは知らないが、中に乗っている人間が想像するには、強風に吹き飛ばされて今にも不時着しそうな体様の飛行機に乗っている感じだ。 フライト時間はおよそ40分。 結構揺れがキツイ、、、 最後までもつのだろうか?? 一つ目の地上絵が見えてきた。 山肌に寝っ転がるようにしているのが、宇宙飛行士だ。 一見すると、宇宙人とでも言ってしまいそうだが、ここではどうやら宇宙飛行士で通っているらしい。 既に地上からかなり離れて飛んでいる為に、その絵が大きいのか小さいのかはわかりづらい。 しかしながら、その山のような丘のようなところの大きさから判断すれば、やはり大きいのだろう。 パイロットは一度その宇宙飛行士の上を旋回すると次の場所へと向かった。 犬 猿 コンドル ハチドリ ペリカン オウム 、、、などなどが続いた その一つ一つの上で写真撮影のためにわざわざ旋回してくれるわけで、こちらとしては有り難いのだが、、、 キツイのだ。 これまでの経験で、バス、列車、船、、、 と大概の乗り物は何とかなるのだが、このセスナとなると、今までの乗り物とは話が違う。 何せ、空中にいるのだ! しかも、普段乗るような大型の飛行機のように揺れは少なくなく、というよりも小回りが利くように設計されているのだから次の動きってやつが全く予想出来やしない、、、 「 も、もう無理っす、、、 」 そう思いかけた頃、最後の木と手が見えてきた。 せっかくここまで来たのである。 必死に写真に収めようと思い、シャッターを切りつつ、、、 飛行場に戻ってきた。 少し千鳥足の自分を笑いながら腰掛けた。 振り返って思い出してみると、話に聞いていたよりも見応えがあったと思えた。 確かに地上絵のいくつかは見えにくかったりもした、けれどそれは地上絵を構成する線が薄いことや、自然の線に見えるような物が入り混じっているからだ。 しかし、あの大きさと規模を考えれば、やはり古代の人たちの偉業に敬服せざるを得ない。 更にあのデザインだ。 あんなに複雑かつお茶目な形をしたものをひしゃげることなく作り上げたのはやはり驚異に値することだと思うし、当時のことを考えると言葉が出てこない、、、 「 誰がいったい何の為に? 」 計算高くなって、損得勘定で物事を判断してしまう現代人には、およそ理解することは出来ないだろう。 なんたって砂漠のように乾いた大地に、人の手でこんなことをしているのだから、、、 尋常じゃない!? Copyright (C) HITOSHI KITAMURA All Rights Reserved.
by hitoshi280477
| 2004-11-24 19:22
| Peru
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